カッパとなつ

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なつとカッパは毎日一緒に遊びました。 水切り、魚のおいかけっこ、虫取り たくさん笑って たくさんの思い出ができました 夏虫の声がなくなる頃 街の学校がはじまるなつは帰る事になりました 『なつ、かえりたくないな…』 『泣き虫 なつ!泣いたら母ちゃん心配するぞ』 『ママとお別れしたのにカッパちゃんともお別れなんて嫌だもん』 なつの目から大きな雫が雨のようにこぼれます 『ずっとここにいる なつが大きくなって寂しくなくなるまで』 『次の夏までほんの少しさよならだ よし 約束に宝物をやるよ!』 ぼちゃん と川に潜ったカッパが持ってきたのは なつには見慣れたラムネの青い空き瓶でした 『中の丸いのが綺麗だろ?』 瓶の中のビー玉くらいカッパの目はきらきらしていました とても大切にしていたのでしょう 泥も曇りもありません 見慣れた空き瓶がとても素敵な宝物に変身しました なつは嬉しくて泣きながら笑います 『なつも大好きな物をあげるね』 なつはポケットのあめ玉をカッパに差し出しました カッパに人間の味はよくわかりません でも泣き虫なつが笑うととても嬉しいのです 『またな なつ』 『またね、カッパちゃん』
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