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約束通り誰にもバレる事なく図書室に来た。
まだ彼女は来ていなくて、CDを弄りながら待つ。
静かだった空間に扉の開く音が聞こえて顔を上げた。
「遅れちゃってごめん」
「いーよ、はいコレ、持ってきたよ」
「あ、ありがと。すぐ返すから」
そう言って大事そうに鞄になおす姿を見る。
本当に好きなバンドなんだな。
「良かった、女子に見つからなくて。三浦くんってモテる人だからあんまり女子に見つかりたくなかったんだよね」
「あー、そうなんだ」
だから2人きりが良かったんだな。
まぁ、この環境だったら告白も出来るし。
「じゃあ、またね」
鞄を持ち帰ろうとしている彼女に俺はキョトンとした。
え、何で、ここで帰るか?
2人きりってシチュエーションはおいしいんじゃないのか?
「ちょっと待って、帰るの?」
「え? うん、用事も済ませたし」
いや、確かに、俺にも自意識過剰な部分はあったけど、誰にも見つからないようにして来てなんて言われたら告白とか何か色々あるんじゃないかって考えるだろ。
モテるとか思って自意識過剰だったけどさ!
「何? やっぱりCD貸せないんだったら別に良いよ?」
あーやめて! 面倒くさそうな顏やめて!
衝撃を受けてる俺は何と言ったら良いのか分からず、結局普通にばいばいと言っただけだった。
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