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放課後、一足先に図書室に来た俺は床に座り込んで梨紗ちゃんが来るのを待っていた。
腕時計を見て、そろそろかなという時に教室の扉が開いた。
「…三浦くん、来たよ」
俺が見えてないのかキョロキョロと辺りを見回している。
呼び出されたのにいないという苛つきと不安が入り混じっている表情に口元が緩んだ。
梨紗ちゃんにバレないよう物音をたてずにそっと背後へ回り込む。
肩に手をかけ、強引にこちらへ振り向かせた。
「梨紗ちゃん!」
悲鳴もあげず、目を見開いて俺を見る。
驚きすぎて声も出なかったんだな…。
悪い顔をしている自覚はある、だけど面白い。
俺に興味なさそうな態度をとっていた梨紗ちゃんの一面に俺は満足していた。
「どう? ビックリした?」
微笑みながらそう聞けば、徐々に頬が赤くなっていく。
目尻に涙まで浮かばせて、唇を噛み締めていた。
「び、ビックリするにきまって…、何でこんな幼稚なこと…」
ヤバいと思った時には手遅れだった、俯いて肩を震わしながら泣き出す。
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