自覚

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真っ青な顔で呟いたユズにイタズラ心が擽られる。 女子って怖いよなーなんて呑気な事を言っているユズを背後から抱き締めた。 「恥ずかしがるなって、な?」 耳元で囁くと、ユズの腕に鳥肌が立っていく。 「や、やめろっ!」 勢いよく押され、すんなりと離れた。 俺も男にベタベタする趣味もない、だけど後ろの方で様子を見ていた女子の一部が何やら携帯を弄り出す。 「お前…余計な事を…」 「ユズが冷たいからだよ」 鼻で笑って、ふと廊下の方を見ると梨紗ちゃんがこっちを見ていた。 あ、変なとこ見られたかも。 ニヤリと笑い、口パクでホモと言われた。 急いで席を立ち、梨紗ちゃんの所まで行こうとしたが、さっさと何処かへ行ってしまう。 呆然としている俺の横でざまぁと笑ったユズに苛つき、頬にキスをして教室を出た。 後ろで騒ぎ出したクラスメイトを尻目に、トイレへ向かう。 うがいしてこないと。
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