オマケ☆3

12/13
前へ
/386ページ
次へ
  去り際に「稔李さん、また遊んでね」と言ってくれたことが嬉しくて、 私はまたほわんと顔の締まりをなくしてしまいました。 妹さんが私の名前を覚えてくれた。 それだけで、今日は大きな収穫だと言えるでしょう。 「先輩、今日はありがとうございました」 先輩からの帰り道、駅まで先輩が送ってくれるというので一緒に歩きながら、私は深々とお礼を言いました。 「すっごく幸せな1日でした。私、一生忘れません」 「おーげさ」 ハハ、と笑って、先輩はさりげなく私の手を握ってくれました。 夕陽に伸びる二人の影が穏やかに揺れて、その温もりにまた幸せを感じてしまいます。 「また来いよ。妹も楽しそうだったし、遊んでやって」 「本当ですか?」 「うん。あいつもカラオケ好きみたいだから一緒に行ってみる?」 「うわぁ、行きたいです」 「……。ふっ」 目を輝かせた私を見て、先輩は可笑しそうに顔を背けました。 「デートで妹を同伴させたら普通怒るって」 「えっ。あ、今の怒る場面でしたか? だって単純に嬉しくて……二人きりもいいけど大勢も楽しいし」 わたわたと焦る私を見て先輩がまた笑います。  
/386ページ

最初のコメントを投稿しよう!

519人が本棚に入れています
本棚に追加