季節外れの‥‥15

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おでこにかかった髪を撫で上げ頬に手をやる。 ‥なんや、昔もやけど大人になっても寝不足なんやな。 ンフフ、俺と一緒に居んのに寝んなや‥ッて、ゆうたら無理してでも起きててくれるかな‥‥ ゆっくりと起こさない様に肩をずらして胸に抱き締める。 スゥー、スゥー、と規則正しい寝息で胸が熱くなる。 このまま見つめて居たくて髪を梳いて手を握る。 ‥クシュン、 アハハ、風邪ひいてしまうな。‥ ベッドに寝かそか‥ 抱き上げてソッと運ぶ。起こさない様に注意しながらも、抱き締める腕に力がこもる。 ベッドに寝かすと、横に膝まつき顔を見つめる。 自然と頬が緩んでくる。 「顔見に来るってゆうて、顔見てンのは俺やんか‥‥」 テーブルを片付けて灯りを消す。 スゥースゥー、と寝息をたてている貴史の隣に潜り込み、頭の下に腕を回す。 心地よい重みが腕にかかる。 寝返りをうち、俺の肩に顔を埋める様にスリスリする。 「‥貴史‥‥好きや‥」 つむじにキスするように囁くと、俺を抱き枕の様に抱き締める。 温かい寝息と規則正しいリズム‥‥ いつしか俺も貴史を抱き締めて眠ってしまった。 …………‥‥‥‥ ‥ン?何で俺、貴史と腕組んでんや‥ 二人共タキシードやし‥‥ 状況が把握出来ないまま周囲をキョロキョロする。 「どうした?一裕。」 木製の大きな扉の前で心配そに俺を覗き込む。 「えっ?‥いや、ここは‥‥」 「クスッ、‥何やねん。緊張してんか?‥でっかい図体してるのに‥‥」 そうゆうて腕を組み直す。 扉の中から厳かなパイプオルガンの音色が聞こえ始める。 扉がゆっくりと開き、 「行くで‥‥」 貴史の言葉を合図に一歩一歩、赤い絨毯の上を腕を組んだまま歩き始める。‥‥ ‥もしかして、教会‥? 「なんちゅう顔してんねんな。‥‥しっかりしィや。この道はお前と俺が出逢って一緒に歩いて来た道や。‥」 「‥この道が‥‥か‥?」 歩みを止める事なくゆっくり噛み締める様に貴史と歩く。 真ん中まできた時、純白のドレスを身に纏った女の人が立っていた。 顔はベールに隠れていて見えない。
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