季節外れの

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「立ち話もなんですから‥」 テーブルにコーヒーを置き薦められる。 「多分気が付いてると思いますが‥」 と、話し始める。 若い先生で一生懸命にはしてたらしい。ただ、仕事として割り切り過ぎる所が目立ってしまい父兄に叩かれたそうだ。 詳細は濁した形だが、それだけでも充分想像はつく。 ‥それでモンスターか‥ 「正直、藤原先生には申し訳無いのですが  部活動が盛んな為無理を頼まなくてはな  らない事が多いかと‥」 本当に人の良い校長や‥ 俺みたいな若造に頭下げて 「‥わかりました。‥ドコまでやれるか解  りませんが頑張ってみます。」 「ありがとう!でも無理はしないようにお  願いします。何かあったらいつでも  ここへ雑談しに来てください。」 目を細めて微笑みコーヒーを飲む。 「ナンか校長先生の方がカウンセリングに向いては  りますね‥  校長室やのに緊張しませんわ‥‥」 笑って言うと、照れた顔で 「変に思わないでください。私事なんで」 そう前置きして、 高校時代の話をしてくれた。 あんまり聞きたないけど‥ 共感はできた。 親からの束縛が薄れ、自分で行動を興す大事な年代。 自分自身の秘密も増えて、抱えきれなくなるのもこの時期。 だからこそ‥‥ 信じられる大人、信じられる友達に出逢って人間的に飛躍できるよう支えたい。 という‥‥理念‥‥ ‥俺もこんな感じでやって行けたらええな   「俺の時も校長先生みたいな人居てはった  ら、もっと違ってたな‥」 ポツリと言うと、 「いや!ソレは困ります。ええ高校生活があ  ったから、今の藤原先生が居てはるんで  す。きっとええ友達に恵まれたんですわ  。」 井本の事を褒められたようで嬉しくなって自然に笑みがこぼれた。
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