44人が本棚に入れています
本棚に追加
「じゃぁ、お母さんとの約束って‥‥俺の事やったんや。」
「あぁ‥そうや。ひとりぼっちにならんように…俺の望みでもあるんやで。」
「頭ン中ぐしゃぐしゃでわからへんけど、オヤジはそれで良かったン?俺‥‥」
罪悪感で泣きそうな徳一の肩に義行が手を回す。
「徳一‥何度もゆうけど、俺は後悔してへんよ。‥それよりごめんな、こんな中途半端な俺が父親で‥‥」
「そんな事無い。俺幸せやで、オヤジが父親で良かった。自慢のオヤジやン‥」
「ホンマやな。こんなに愛情注がれて、大事にされて‥‥僕もおじさんのようになれるやろか‥‥」
「アカンよ、俺のようには。義行は義行のやり方で徳一と一緒に居っててや‥二人で歩いてって‥‥」
フワッといつもの笑顔でゆう。
「けど、俺いっぱい心配かけた。いっぱいムリさせた。‥ホンマにごめんな。」
髪をクシャクシャッと撫で、
「ハハハ、いつもゆうてるやろ。心配すンのは親の務めや、親は子の幸せ願ってる。ただ、それだけや‥‥せやから、今日は半分肩の荷下りたで‥」
そう言って義行に笑いかける。
「おじさん、肩の荷なんかおりへんよ。僕もおんなじだけ心配かけるから。」
「なんやねんな、倍になるんかいな。」
凄く嬉しそに、笑う。
「まぁ、息子が増えると思たらええかぁ。せいぜい、親孝行してもらおか。」
くわえ煙草でニカッと笑う。
目の前のいつもと変わらぬ楽し気な二人を、肴にビールを飲み干した。
最初のコメントを投稿しよう!