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身体を拭きながら、僕の方をジッと見て
「義行って運動してへんのに、案外筋肉質やな‥‥」
「あんまり、じっくり見らンとってや。恥ずかしやン。」
「タッパもあるよな‥‥」
「?‥あんまり変わらへんやン。どうしたン?」
「‥なんもない、先に部屋へ行ってる。」
後を追い掛けて、手を掴む。
「徳一?どうしたン?‥まさか、風呂でキスしたの‥‥アカンかったン?」
僕が掴んだ手をジッと見ながら
「ちゃう、何かな‥自信がなくなってきてン。‥‥俺、義行に似合わン気がして‥‥グスッ、」
廊下で抱き締めて、頭を撫でる。
「エッ?似合うも何もないやン‥何でそんなんゆうン?」
「‥わからへん、信じてへんわけやないねん。チョッと不安になってン‥もしかしたら、可愛いい女の子の方がホンマはええンやろうなって‥」
涙を溜めてうつ向く。
「部屋へ行こ。ゆっくり落ち着いて話しよや。」
手を引っ張って部屋に入りベッドに腰かける。
膝の上に握りこぶしをつくり、泣きそになるのを堪えている。
ベッドに上がり壁に背もたれ、
「のり君、僕の膝においでや‥‥」
うつ向いたままゆっくり傍により横向きに膝に座る。
片手を背中に回し、前髪をかきあげてやる。
涙を溜めた瞳が揺らいでいた。
そのまま頭を僕の胸に預けて目を閉じる。
僕は静かに優しく語りかける。
「僕な、のり君が好きなンよ。せやから離した無い。格好悪てものり君に膝間付いてでも、すがり付いてでも繋ぎ留めてたいねん。‥ゆうてや‥不安に思てる事、全部。僕は受け止める自信だけはあるから。‥ホンマに好きなンやで、」
抱き締めて、頬を撫で、指で唇をなぞる。
「‥やって、義行ってモテるって気ぃついてた?いっつも、俺手紙預かるンやで!男からも女の子からもゆわれて‥紹介せぇって、俺、‥‥義行ッ!ホンマに俺の事好きなン?オヤジに言われたからとか、同情とか‥ンッ、‥」
言葉を遮り口を塞ぐ。
「好きやょ。流されたンとちゃうってゆうたやん‥‥誰にも渡したくない。このまま、ずっと一緒に居たい。」
大きく目を見開いて、
「‥嘘、やン‥‥帰りしなかって、藤原先生と意味深やし!」
僕のシャツを掴んで握り締め、涙をポロポロ溢す。
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