季節外れの‥‥9

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行きは校長先生の車で来たのだが、帰りは俺一人方向が違うので自宅まで送ってもらうのは、気が引けて近くの駅まで送ってもらった。 電車に乗り込みふと、先程の生徒の事を考える。 無事に生徒とも1対1で話ができ最初にしては馴染めた方だと思う。 ただ、自分の悩み事を皆が知っていてバカにしているンじゃないかと、疑心暗鬼に囚われて学校に出て来れないようだ。 担任の先生はマメに様子を見に行ってるようやし、友達とも連絡を取り合って孤独感はないようだ。 深刻になる前で良かった。 親御さんも理解を示してくれて、何とか学校に出てこれそうだ。 ホッと胸を撫で下ろす。 時計を見ると、8時を回ったところだ。 ‥ホンマやったら、アイツと一緒に居ったかもしれんな。 済んだ事はしゃぁない‥けどな、間が悪すぎやわ。 電車の窓に映る自分をみて、自分が思っている以上に落胆している事に気付き驚く。 ‥世界中の不幸を背負った顔してんで‥ いつか義行が言ってた。 「アイツ、上手いことゆうな‥」 苦笑いして携帯の電源を入れる。マナーモードに切り替えてからもう一度アイツの声を訊く。 胸の奥が切なく軋む。 ‥ホンマに未練がましいな。 ため息が知らず知らず洩れ、ガラスに写る自分に問いかける。 ‥声を訊くだけで泣きたくなるのは、なんでなん? ‥逢ってどうしたいンやろ? ‥昔のようになんて、ウマイ話はないんやで ‥それでも、ええンか? ‥それでも、好きなまんまで居るつもりか? ‥諦めてしもて、友達として傍に居れるだけでもええンとちゃうん。 ‥アイツの幸せそな笑顔が見れるンやったら、それでええンとちゃうん。 それだけで‥‥俺、幸せやン‥ ただの友達でええやん‥‥ 「せやな‥‥」 誰にゆうでもなく、呟いた。
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