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行きは校長先生の車で来たのだが、帰りは俺一人方向が違うので自宅まで送ってもらうのは、気が引けて近くの駅まで送ってもらった。
電車に乗り込みふと、先程の生徒の事を考える。
無事に生徒とも1対1で話ができ最初にしては馴染めた方だと思う。
ただ、自分の悩み事を皆が知っていてバカにしているンじゃないかと、疑心暗鬼に囚われて学校に出て来れないようだ。
担任の先生はマメに様子を見に行ってるようやし、友達とも連絡を取り合って孤独感はないようだ。
深刻になる前で良かった。
親御さんも理解を示してくれて、何とか学校に出てこれそうだ。
ホッと胸を撫で下ろす。
時計を見ると、8時を回ったところだ。
‥ホンマやったら、アイツと一緒に居ったかもしれんな。
済んだ事はしゃぁない‥けどな、間が悪すぎやわ。
電車の窓に映る自分をみて、自分が思っている以上に落胆している事に気付き驚く。
‥世界中の不幸を背負った顔してんで‥
いつか義行が言ってた。
「アイツ、上手いことゆうな‥」
苦笑いして携帯の電源を入れる。マナーモードに切り替えてからもう一度アイツの声を訊く。
胸の奥が切なく軋む。
‥ホンマに未練がましいな。
ため息が知らず知らず洩れ、ガラスに写る自分に問いかける。
‥声を訊くだけで泣きたくなるのは、なんでなん?
‥逢ってどうしたいンやろ?
‥昔のようになんて、ウマイ話はないんやで
‥それでも、ええンか?
‥それでも、好きなまんまで居るつもりか?
‥諦めてしもて、友達として傍に居れるだけでもええンとちゃうん。
‥アイツの幸せそな笑顔が見れるンやったら、それでええンとちゃうん。
それだけで‥‥俺、幸せやン‥
ただの友達でええやん‥‥
「せやな‥‥」
誰にゆうでもなく、呟いた。
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