季節外れの‥‥9

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駅に着き改札をトボトボと人の波と共に抜ける。 空を見上げてため息が白く漂う。 ‥なんやなぁ、腹も減ってへんみたいやし、ビールだけでも買って帰ろかな、 駅前のコンビニに寄って、サラダと朝のおにぎりそれにビールを取り振り向くと、 ピンポーン! 「いらっしゃいませ。」 ドアの方を何気無く見る ‥なっ、何で井本が‥こんな時間に、嘘やろ。 先程の決意も虚しく、思わずしゃがんだ俺に気付きもせずに雑誌コーナーに真っ直ぐ行き外を気にしながら雑誌を捲る。 レジで支払い、お釣りを貰う手が震えて、モタモタしながら財布をなおす。 気付かれないよう外に出て、店内のアイツから死角になる灰皿の所で煙草に火を点ける。 身体をずらすと雑誌に目をやるアイツが見える。 相変わらずのサッカー雑誌‥ ‥今、ここで声をかけれるわけないやん? 今日の言い訳って‥なんか俺がムッチャ楽しみにしてたみたいやん。‥‥ ポケットに手を突っ込み暫く眺める。 ふと、携帯が着信しているのに気付く。 「お疲れさん、どや?仕事終わった?俺、駅前のコンビニに居るから‥9時半位まで待ってるから‥ もし、来れたらでかまへんし‥‥待ってるから‥」 ドタキャンした俺に対して全然キレてない優し過ぎる言葉。そやけど、切ない哀しみに揺れる声が俺の心に響く。 まさか、俺の帰りをホンマに待ってンか? アカン‥‥マジで嬉しい‥ ‥声かけたい ‥せやけど、やっぱ俺今のまんまやと逢えんわ。 優し過ぎるお前の事が好き過ぎておかしくなる。 きっとお前にすがりついて泣いてまうわ‥‥ ‥離さんとって、傍に居ってってゆうてまう。 あの頃のように…
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