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駅に着き改札をトボトボと人の波と共に抜ける。
空を見上げてため息が白く漂う。
‥なんやなぁ、腹も減ってへんみたいやし、ビールだけでも買って帰ろかな、
駅前のコンビニに寄って、サラダと朝のおにぎりそれにビールを取り振り向くと、
ピンポーン!
「いらっしゃいませ。」
ドアの方を何気無く見る
‥なっ、何で井本が‥こんな時間に、嘘やろ。
先程の決意も虚しく、思わずしゃがんだ俺に気付きもせずに雑誌コーナーに真っ直ぐ行き外を気にしながら雑誌を捲る。
レジで支払い、お釣りを貰う手が震えて、モタモタしながら財布をなおす。
気付かれないよう外に出て、店内のアイツから死角になる灰皿の所で煙草に火を点ける。
身体をずらすと雑誌に目をやるアイツが見える。
相変わらずのサッカー雑誌‥
‥今、ここで声をかけれるわけないやん?
今日の言い訳って‥なんか俺がムッチャ楽しみにしてたみたいやん。‥‥
ポケットに手を突っ込み暫く眺める。
ふと、携帯が着信しているのに気付く。
「お疲れさん、どや?仕事終わった?俺、駅前のコンビニに居るから‥9時半位まで待ってるから‥
もし、来れたらでかまへんし‥‥待ってるから‥」
ドタキャンした俺に対して全然キレてない優し過ぎる言葉。そやけど、切ない哀しみに揺れる声が俺の心に響く。
まさか、俺の帰りをホンマに待ってンか?
アカン‥‥マジで嬉しい‥
‥声かけたい
‥せやけど、やっぱ俺今のまんまやと逢えんわ。
優し過ぎるお前の事が好き過ぎておかしくなる。
きっとお前にすがりついて泣いてまうわ‥‥
‥離さんとって、傍に居ってってゆうてまう。
あの頃のように…
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