季節外れの‥‥9

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俺は、一度も振り返らず歩いた。 ‥しつこに付きまとわんから‥ゆうてしもた。 仕方ない事やねん、泣かせた無いんや、笑ってて欲しいねん。 目尻に皺が寄って目を細めた顔‥‥ 幸せそな、クシャクシャの笑顔をしてて欲しいねん。 玄関の扉を開けてそのままキッチンに行き、水を飲む。 「おじさん?お帰り、‥どうしたん、」 「ん?あぁ‥ただいま‥イヤ、ちょっと悪酔いや‥」 心配そな義行に悟られんように、 「‥上手い事いったか?」と、笑って肩に手を置く。 「///‥‥」 照れて何も言えずにいる義行に、 「ここ‥‥ついてんで‥」 鎖骨の辺りを指さしフッと笑う。 「/// うっ、止めてや‥。」 「ハハハ、早ょ戻らな徳一が拗ねんで。‥俺、今日は下で寝るし‥おやすみ。」 二階に上がる足音を聞きながら俺は、先輩の写真の前に座った。 ‥‥‥ ごめん、今夜だけでええから‥泣いてもかまへんかな、 アカンねん‥涙が流れてくんねん、なんでかな‥胸が苦しいねん‥ 俺のした事は全部アイツを苦しめてだけやったんや‥って思ったら、付きまとわんからってゆうてしもた もう、笑った顔なんか思い出されへんねん‥ 目を閉じて浮かぶんは、 ‥無理した歪んだ笑顔泣きそな涙の溜めた自傷気味の笑顔  俺を責める瞳‥‥ そこには俺が少しも映って無いんや‥ 泣き顔だけが俺を見つめてる。 ずっと傍に居って護ってやりたかった。 最後の最後まで、傷付けて残酷な事をしてしもた。 松の木のように力尽きたんやない。ただ、この場所でアイツを待ってたんや‥‥ 全部、自分勝手な思い込みやったんやな‥ いつかまた、笑って逢えるやろか? なぁ、先輩。やっぱり‥‥ツラいわ‥  
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