季節外れの‥‥10

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「ええ匂いやなぁ‥前にゆうてた奴にやるンか?」 1つ摘まみながら聞く。 「そぉや、やって先輩、今年で卒業やし彼女おってもチョコぐらいかまへんやん。イベントやから。」 「まぁな、‥‥ウン、旨いで。」 「ホンマに?よかったぁー。」 パァーッと明るく笑う。 そして俺の顔をみて、 「もしかして何かあったン?瞼が腫れてンで」 「‥あぁ、ちょっとな。」 「フラレたン?」 「イヤイヤ‥‥」 少しの間心配そにしてたが、自分で勝手にコーヒーを淹れ飲みはじめた。 「まっ、ええけど。‥大変やなぁ、土曜日やしそんな顔やし‥休めばええのに。」 「あはは、そやな。けど、旨いケーキ食わしてもらえたやン。」 「ウワァー、先生口上手いわ。」 ここに来るやつは皆勝手にコーヒーを淹れて飲む。 俺と雑談をするために‥まぁ、別に咎めたりしたこともないから、喫茶室と思ってる奴もいる。 冷蔵庫には、お茶やスポーツドリンクが常備してあるからしゃぁないけどな‥ まぁ、相談に乗ったり話をすんのにはちょうどええけど。‥ 先生なんかは、裏に喫煙所を設けているんでちょくちょくやって来るし‥ ‥ええ学校やね、父兄も煙草吸う人が多いから苦情も無いみたいやし。‥煙草吸いながらの世間話や、相談がしやすくて都合がええ。 まぁ、俺は助かっているけど。 「ハァー、美味しいわ。ここでコーヒー飲んだらホッとする。落ち着くし、イライラがなくなる。‥時間がちゃうんよ、ふわぁッてしてて‥先生の雰囲気があったかいから‥」 「さよか‥、褒めてもなんも無いで。」 話しながら、もう1つ摘まむ。
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