季節外れの‥‥10

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あらためて思う‥‥ 昨夜は世界中すべてが俺を拒んで一人ぼっちの気がしてた。 違ったんや‥‥ 結局人は一人やない。 周りを見渡して深呼吸したら見えてくる。 こんなに沢山の人と出逢ってるンや。 昨日かて、皆俺の事を心配してくれてた。 恥ずかしい話やけど‥ 色んな人と出逢って、 ‥例えそれが人生の時間軸で一瞬の出来事やとしても 輝きに変えれるんやったら‥‥ しあわせな事や‥ 今は無様でも‥ 《さよなら》は、まだゆうてへん‥ やったら、まだ全てを諦める必要なんかない。 やり直すんやなくて、アイツともう一度始めたい。 一からゆっくりと‥手探りで‥‥ ‥友達として、 ‥胸の奥に永遠に消せない焔を隠したままで ‥‥俺は、携帯を手にし開き馴れた電話番号を見つめる。 発信せずそのままで呟く。 「もうちょっと待ってて欲しい。 お前が居ったから今の俺は幸せやから‥ ‥きっとお前に笑って《しあわせやった》とゆえるから‥‥、 けど、愛してるとはもうゆえんねん。‥‥井本の幸せを壊したないから。 やからな、我儘はゆわへん‥ 最初で最後の恋ッて言葉だけでええ‥‥ 後は、なんも要らん。‥ 今の幸せを大事にしてや。」 言葉にしたら、できる気がした。 アイツの幸せを純粋に願える気がした。 目を閉じたら、 昔の‥ 体育祭の時の‥ ‥ほらっ、 ‥逃げンで‥と、笑った顔が浮かぶ。 あの日から俺は、お前の背中を追い掛けてたんや。 一時だけでも恋人として、横に居れた。 ‥それだけで充分や‥‥ ‥お前と恋人として過ごした時間を誇りにして‥‥ だから、俺も感謝の気持ちを贈るよ。‥‥
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