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心地よい汗をかいてシャワーを浴びる。
鏡を見て、後ろめたさのない瞳に気付く。
自分自身に微笑み、やっと吹っ切れたンや‥と言葉にする。
「さぁ、今晩にでもアイツに電話いれよか。きっとビックリすんで‥」
何気に楽しく心が弾む。大人になって初めてかも知れない。
折角やから‥アイツの誕生日を祝うか。丁度レシピもあるし‥
久しぶりに自転車の鍵を取り、駅前の大きなスーパーに出掛ける。
人混みに酔いながら、買い物を済ませて公園で一休みする。
家族連れが楽しそにお弁当を広げている。
ボールを追いかける少年、父親の姿。
‥幸せそのものやな。
俺には決して手に入らないが、手に入れたアイツの幸せまで奪いたくはない。
きっと、大丈夫。
アイツの幸せを奪わずに進んでいける。
「さぁ、帰って気分転換にケーキに挑戦しよか。」
公園を横切り、木々を見上げると春にはまだ遠いというのに、桜が一輪、春を待てずに咲いていた。
誰にも気付かれずにひっそりと‥
‥桜と一緒や。俺のなかにも春を待てんと咲いてる。
普通やないって考える事なんかあらへん。
俺にとっては、これが、普通やねん。
目に見えない勇気を貰った気がした。
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