季節外れの‥‥10

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心地よい汗をかいてシャワーを浴びる。 鏡を見て、後ろめたさのない瞳に気付く。 自分自身に微笑み、やっと吹っ切れたンや‥と言葉にする。 「さぁ、今晩にでもアイツに電話いれよか。きっとビックリすんで‥」 何気に楽しく心が弾む。大人になって初めてかも知れない。 折角やから‥アイツの誕生日を祝うか。丁度レシピもあるし‥ 久しぶりに自転車の鍵を取り、駅前の大きなスーパーに出掛ける。 人混みに酔いながら、買い物を済ませて公園で一休みする。 家族連れが楽しそにお弁当を広げている。 ボールを追いかける少年、父親の姿。 ‥幸せそのものやな。 俺には決して手に入らないが、手に入れたアイツの幸せまで奪いたくはない。 きっと、大丈夫。 アイツの幸せを奪わずに進んでいける。 「さぁ、帰って気分転換にケーキに挑戦しよか。」 公園を横切り、木々を見上げると春にはまだ遠いというのに、桜が一輪、春を待てずに咲いていた。 誰にも気付かれずにひっそりと‥ ‥桜と一緒や。俺のなかにも春を待てんと咲いてる。 普通やないって考える事なんかあらへん。 俺にとっては、これが、普通やねん。 目に見えない勇気を貰った気がした。
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