季節外れの‥‥10

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今度は本当に囁かれ、 ンッ‥吐息が洩れ、自分を抱き締めてしまう。けど、それを悟られンように 「‥イヤ‥や‥ない‥‥」冷静を装うが声が震えてしまう。 「クスッ‥何処がええ?‥」何故か笑われてしまう。 「あっ、‥そやな、この間の公園でええか?‥30分後に」 「わかった。待ってる。‥‥」 「あのな、最初にゆっとくけど‥‥お前の」と、言いかけた言葉を遮り、 「話はせぇへんよ。‥お前の嫌な事は、絶対にせぇへんよ‥会ってくれるだけでええ。‥‥ありがとな。」 そう言ってきれた。‥ ‥アカンなぁ、電話だけでもこんなにドキドキして、声が震えてしもた。 ちゃんとゆえるやろか? 友達として‥進んで行こう。ッて アイツもわかってくれるやろか?‥ 嫌いになったンやないって‥ 好きやから、‥‥ッて‥ ‥ええか、絶対に泣いたらアカンで。  すがりついたり、我儘はアカン。 後は、考え込んだらアカン。‥ええな。 自分に言い聞かせてジャケットを羽織る。 鏡の前に立ち、 ‥変な格好やないよな。普通やよな。 服装をチェックする。 遅れないように慌てて靴を履き‥ 「そや‥‥」もう一度部屋に戻りテーブルのパウンドケーキとおしぼり、ウェットティッシュを紙袋に入れる。 ‥感謝の気持ちや、最後になっても後悔せんように。‥ 俺は自分の想いが崩れないように、抱き抱えるようにして待ち合わせに急いだ。
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