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話があるってゆうといて、口火を切ったのはアイツやった。
「この間の‥アレ‥悪かった‥」
「もうええょ、済んだ事や。」
‥ちゃう、嘘や。ホンマは抱き締めて欲しかってん。
言葉に出来ひん想いが締め付ける。
「あのや、俺な、お前を忘れたり憎んだりでけへんねん‥‥」
なんとか言葉を探して話し出す。
「今の俺は、お前の家庭を壊したないねん。‥こんなんゆうたら困るやろうけど、‥‥まだな、‥好きやから。」
「‥ホンマか‥‥俺もな、」耐えきれずに話し出すのを遮り、
「ゆうなや!!井本は‥ゆうたらアカンで‥なっ。」
泣き笑いにならんように唇を噛み締めた。
‥あんまりグダグタ話とったら余計な事言いそや、
アカンで、傍に居ってなんかゆうたら‥
小さく深呼吸してから、
「丁度ええ区切りやから‥‥」
そう言って持っていた紙袋を開けて中からパウンドケーキを出す。
「明日、誕生日やン‥やから、明日から始めようや。友達。
‥今までありがと。‥‥俺、いつも井本が居って幸せやった。ホンマに嘘やないねん。
離れてた12年間もずっと思てた‥
‥全て俺の為にやった事やって解ってた。‥
‥けどな、アホやろ、俺な‥一昨日のキスで初めてお前も俺を待っててくれたんやって解った。
‥嬉しかった‥‥
そやけど、お前の家庭を壊してまで井本を好きでおられへん。‥
‥‥でも、友達でええから、‥‥
もう、離れたないねん。」
涙がボロボロと、恥ずかしいくらい流れ落ちる。
声が震えて、身体が震えて、前が見えない。
「藤原‥‥友達ッて、それでええンか?俺の気持ちはどうなんねん‥‥」
指で涙を拭いながら俺の頬に手をやる。
「‥最後の我儘やと思ってや。本当は俺、お前から離れた方がええンやろうけど‥‥出来ひんねん。
ごめんな。今日で気持ち切り替えるから‥‥お前はお前の幸せを守ってや。‥‥俺、絶対にお前に迷惑かけへンから。‥井本の家庭を壊したりせぇへんよ。‥‥やから、お願いや‥‥友達で居ってや‥」
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