季節外れの‥‥10

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話があるってゆうといて、口火を切ったのはアイツやった。 「この間の‥アレ‥悪かった‥」 「もうええょ、済んだ事や。」 ‥ちゃう、嘘や。ホンマは抱き締めて欲しかってん。 言葉に出来ひん想いが締め付ける。 「あのや、俺な、お前を忘れたり憎んだりでけへんねん‥‥」 なんとか言葉を探して話し出す。 「今の俺は、お前の家庭を壊したないねん。‥こんなんゆうたら困るやろうけど、‥‥まだな、‥好きやから。」 「‥ホンマか‥‥俺もな、」耐えきれずに話し出すのを遮り、 「ゆうなや!!井本は‥ゆうたらアカンで‥なっ。」 泣き笑いにならんように唇を噛み締めた。 ‥あんまりグダグタ話とったら余計な事言いそや、  アカンで、傍に居ってなんかゆうたら‥ 小さく深呼吸してから、 「丁度ええ区切りやから‥‥」 そう言って持っていた紙袋を開けて中からパウンドケーキを出す。 「明日、誕生日やン‥やから、明日から始めようや。友達。 ‥今までありがと。‥‥俺、いつも井本が居って幸せやった。ホンマに嘘やないねん。 離れてた12年間もずっと思てた‥ ‥全て俺の為にやった事やって解ってた。‥ ‥けどな、アホやろ、俺な‥一昨日のキスで初めてお前も俺を待っててくれたんやって解った。 ‥嬉しかった‥‥ そやけど、お前の家庭を壊してまで井本を好きでおられへん。‥ ‥‥でも、友達でええから、‥‥ もう、離れたないねん。」 涙がボロボロと、恥ずかしいくらい流れ落ちる。 声が震えて、身体が震えて、前が見えない。 「藤原‥‥友達ッて、それでええンか?俺の気持ちはどうなんねん‥‥」 指で涙を拭いながら俺の頬に手をやる。 「‥最後の我儘やと思ってや。本当は俺、お前から離れた方がええンやろうけど‥‥出来ひんねん。 ごめんな。今日で気持ち切り替えるから‥‥お前はお前の幸せを守ってや。‥‥俺、絶対にお前に迷惑かけへンから。‥井本の家庭を壊したりせぇへんよ。‥‥やから、お願いや‥‥友達で居ってや‥」
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