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「何でそんな事ゆうねん。俺やったら大丈夫なんやで‥‥俺、藤原だけなんやで。お前が居ってて欲しい。傍で笑っててくれらな‥‥幸せになんかなられへん。‥」
「アホやな、そんな事ゆうたらアカンで‥なっ、ゆっくりでええから友達、やり直そうや。‥」
伝えたい事は全部伝えた。もう迷わへんから、後は井本の返事だけや。
俺はじっと見つめる井本に改めて、告げる。
「‥お前に愛されて、お前を愛して、幸せやった。
お前と出逢って大切な想いを手に入れた。
ありがとな。‥」
心からフワリッと微笑みがこぼれた。
それを見て何かを感じ取った井本が
「ホンマに変わってへんな。頑固や‥藤原が選んだンやったらそれでええょ‥‥せやな、友達でもかまへん。‥」
「ありがとな‥。」
俺の涙を綺麗に拭き取り、優しく笑う。
「食べてくれるか?‥お前への感謝の気持ちや。初めて作ったから味の保障は出来ひんけど‥‥」
「んっ?これ、誕生日ケーキやないんかい。」
クスッと、笑い1つ摘まんで、ウマッ!、
そして、‥時計を見る。
「ごめん‥エライ時間とってしもたな。早ょ帰らな心配するな‥‥」
「ちゃうちゃう、そんなんやないから、‥‥まだ明日になってへんなぁッて思て、時間見てン。」
言葉の意味が理解できない俺に
「友達は、明日からやんな‥‥」
耳元で囁かれる。
驚いて顔をあげると、すぐ近くに唇があって、薄く口元がゆっくり開く。
「やからまだ‥友達とちゃうンやな‥‥」
吹き込まれるように唇が重なり抱き締められる。
「‥ぅンっ‥‥いっ‥の‥アン‥‥」
返事か吐息かわからない声が出る。
「まだ‥俺だけの、藤原やんな‥
俺、好きやから‥‥ずっと待ってた。‥‥離したない。‥
やから、明日になるまで一緒に居ってや‥‥俺の最後の我儘や‥一裕、好きや‥」
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