季節外れの‥‥10

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「何でそんな事ゆうねん。俺やったら大丈夫なんやで‥‥俺、藤原だけなんやで。お前が居ってて欲しい。傍で笑っててくれらな‥‥幸せになんかなられへん。‥」 「アホやな、そんな事ゆうたらアカンで‥なっ、ゆっくりでええから友達、やり直そうや。‥」 伝えたい事は全部伝えた。もう迷わへんから、後は井本の返事だけや。 俺はじっと見つめる井本に改めて、告げる。 「‥お前に愛されて、お前を愛して、幸せやった。  お前と出逢って大切な想いを手に入れた。  ありがとな。‥」 心からフワリッと微笑みがこぼれた。 それを見て何かを感じ取った井本が 「ホンマに変わってへんな。頑固や‥藤原が選んだンやったらそれでええょ‥‥せやな、友達でもかまへん。‥」 「ありがとな‥。」 俺の涙を綺麗に拭き取り、優しく笑う。 「食べてくれるか?‥お前への感謝の気持ちや。初めて作ったから味の保障は出来ひんけど‥‥」 「んっ?これ、誕生日ケーキやないんかい。」 クスッと、笑い1つ摘まんで、ウマッ!、 そして、‥時計を見る。 「ごめん‥エライ時間とってしもたな。早ょ帰らな心配するな‥‥」 「ちゃうちゃう、そんなんやないから、‥‥まだ明日になってへんなぁッて思て、時間見てン。」 言葉の意味が理解できない俺に 「友達は、明日からやんな‥‥」 耳元で囁かれる。 驚いて顔をあげると、すぐ近くに唇があって、薄く口元がゆっくり開く。 「やからまだ‥友達とちゃうンやな‥‥」 吹き込まれるように唇が重なり抱き締められる。 「‥ぅンっ‥‥いっ‥の‥アン‥‥」 返事か吐息かわからない声が出る。 「まだ‥俺だけの、藤原やんな‥ 俺、好きやから‥‥ずっと待ってた。‥‥離したない。‥ やから、明日になるまで一緒に居ってや‥‥俺の最後の我儘や‥一裕、好きや‥」
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