季節外れの‥‥10

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名前を呼ばれて、優しい眼差しが俺に注がれる。 「噛んだらアカンょ‥‥なっ。」昔のように唇をなぞり、微笑む。‥ 「ぉん‥」 目を反らせなかった。‥ 明日になるまで、昔のようにしてや‥‥それくらいええやろ。だれにも迷惑かけへンから‥ 俺も明日にはちゃんと友達としてはじめるから‥‥ そう囁かれ抱き締められたまま、時間なんてなくなればええのに‥‥そんな事を考えてた。 「寒くないか?‥」俺の髪を梳きながら訊く。 「ぉん‥大丈夫や。お前は?‥」 上目遣いで尋ねる。 クスッ、 「その目、アカン‥キスしてしまいそや。」 「なんやねん。ンッふ‥さっきしたやン‥。」 そう言って俺から口元にキスをする。 嬉しそに笑い、耳元で俺の名前を囁く。 また、キスをして微笑み名前を囁く。‥何度も ‥幸せな時間が流れて、 ‥離したくなくて ‥切なくて、温もりを感じていた。 ‥何度も、何度も、繰り返し、名前を囁く。 ‥何度も、何度も、繰り返し、キスを交わす。 ‥愛してるから、 ‥好きやから。 ‥今日だけ、俺のもんで傍に居ってて、 ‥明日からは、触れたくてもでけへんから ‥この瞳も、眉も、唇も、耳も、こめかみも、頬も、うなじも、髪も、腕も、手も、指も、全部、今日だけは俺のもんやから‥‥ ‥全部、愛してるから ‥全部、覚えていたい。 「‥ンッふ、貴史。‥俺しあわせや‥」 「俺もや‥一裕が腕の中で笑ってて、温かくて、‥‥このまま、拉致りたい。‥ 」 抱き締められる腕に力が籠り、身悶えてしまう。 ええょ、拉致っても‥‥ゆう代わりに、 「ンッ‥キスしてや‥‥あっン、‥」 「‥可愛い、‥一裕 もっと甘えて‥」 「‥イヤ‥や、これ以上は無理‥ンッふ‥」 「ウソや‥‥この口元が甘えてんで‥」 「‥ちゃうから‥‥ンッ‥ハァ‥」
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