季節外れの‥‥11

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小さく呟くように、 「ただいま。‥」 ソッと家に入る。 リビングに明かりがついている。 ‥チッ!何で起きてんねん。 「オヤジ!何処行っててん。」心配な顔で二人が詰め寄る。 「悪い‥ちょっと‥‥」 バツが悪く視線を合わさずに答える。 「昨夜の様子からやったら心配するやろ!」 「子供や無いんやから、別にええやン‥」 口を尖らせて文句をゆう。 「なら、せめて行き先ぐらいゆうてから出掛けてや!」 真っ青な顔で俺に掴みかかる。 「‥友達と‥‥おうてたんや‥」 「友達?‥‥何か甘い匂いすんで‥」 そう言って黙り込む。目線は俺の胸元に‥ 「オヤジ?‥リングが一つになってる‥‥」 ‥ヤバイ、見つかってしもた。 慌ててシャツの中に入れるが 「なっ‥渡せたン?‥オヤジ、教えてや!」 「あ"ー!もう、うるさいわ。風呂入って寝る!」 手を振りほどき、風呂場に直行する。 「あー、着替え持ってきてや。」 「持ってくから、ちゃんと話してや。ええな!」 ゆっくりと湯船に浸かりながら、 ‥しもたなぁ、何とか誤魔化されへんやろか。 頭までトップリ、湯に浸かると、クスクスと笑いが込み上げてくる。 もう、逢えんと思ってた分嬉しさが半端なく押し寄せる。 友達でもええかぁ。いつか、話を訊いてくれる日がくるやろうし。 やって、さっきまでアイツは俺の腕の中に居ったし。 名前を囁いてキスして‥‥抱き締めて 何よりもアイツ全然、気持ちは変わってへんかった。 今、俺のリングはアイツが持ってるンや。 もう、離したりせぇへんから‥‥
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