季節外れの‥‥11

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ゆっくりとビールを飲み、ため息をつく。 話始めるのを躊躇っていたが、 不意に、 「俺な、焦りすぎて‥‥それで‥傷付けてしもてん。‥‥ただ、そんなけの事や‥‥」 俺がいきなり話始めたので二人に緊張が走る。 「話なんてなんもでけへんかった。‥‥訊きたないって。‥‥」 ポツリポツリ話を切り出す。 二人共黙って訊いている。 「偶々、帰り道でおぅたんよ。つい、嬉しくて昔みたいに‥俺ん家寄ってや、すぐそこやから‥ってゆうたら、キレられた‥‥ 逢われへん状況を作ったんは、お前やろ‥‥ 最初に突き放したんは、お前やろ‥‥ って、泣かれてしもた‥‥ 誰よりも護りたかったアイツを傷付けてたんは、俺やった事に初めて気付いた。 ‥‥アホやろ‥」 また、一口ビールを口にする。 「‥おじさん、相手の人は誰なん?」 ゆわれへんとでも言いたげに首を横に振る。 「‥‥俺な、アイツが幸せやったら俺を憎んでても恨んでてもかまへんねん。 ‥‥けどな、アイツが今 、何してどんな暮らししてるとか幸せなんかとかも‥何も訊けんかってん。 ただ、俺を拒んでてん。 ‥前に逢った時に忘れられへん、逢いたかってん‥ってゆうてたから、俺‥‥舞い上がっててん。 アイツの気持ちなんか全然考えてなかってん。‥」 視線はずっと手に持ったビールを見つめている。 「おじさん‥」何か言いたげな義行を見て、 「アホやろ‥」と、一言呟いてからビールをあおる。 今まで黙って訊いていた徳一が涙目になりながら、 「オヤジ、それって全部俺のせいやん‥‥なぁ、教えてや、その人の事。‥俺。会って誤解解いてくる!」 「ちゃうよ。徳一のせいやない。全部、俺が悪いねん。‥‥最後の最後まで傷付けて、泣かせたんは俺やねん。‥‥」
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