44人が本棚に入れています
本棚に追加
─────。
もう一度、頭まで浸かると自分を抱き締める。
‥俺は、まだ嫌われてへんから。
きっと、まだ好きでおってくれてる。
それだけで今は充分や。
風呂から上がりリビングにいくと、ビールとだし巻きが用意されていた。
徳一と義行が話を訊きたくて待ち構えている。
ハァー‥。ため息が出る。
すると、何を勘違いしたのか二人の顔が曇る。
‥こいつらは、何やねん。
黙ってビールを飲む。このままだんまりを決め込もうと思った時、
「‥なぁ、リングは?」
徳一を一瞥してから
「あ?‥渡した。」なるべく短く答える。
途端に声が大きくなり、
「何てゆうて渡したン?」身を乗り出す。
「チッ‥なんでもええやろ。」
「相手の人は?何て‥」
「ハァ?‥うっさいわ!ほっとけや。」
もうこれ以上はなにも答えないという態度でそっぽをむく。
心配気にいる徳一を見るに見かねた義行が、
「おじさん、うまくいったかどうかだけでも教えてや。」
徳一の横で心配そに俺を見ている。
義行にゆわれると話せなしゃぁない気になる。
少し考えてから、
「‥せやな、これからかな‥‥
取り敢えずは逢おうと思えばいつでも遇えるし、話訊いてもらえんでもええわ。‥
待ってた分が長かったから苦にならん。‥
ゆっくり始めよか‥‥ってな‥」
安心したように、ニッコリ笑って、
「ソッかぁ、よかった。‥やっぱり相手の人もおじさんの事待ってたンや‥‥
これからなんやね。‥」
「‥ぉん‥、まぁ、また泣かしてしもたけど、今回は二人で話した結果やから‥‥」
そう言って目を閉じると、自分の腕に暖かさを感じる。
最初のコメントを投稿しよう!