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ゆっくりとアイツの心に届くように甘く囁く。
「なぁ‥アカンのか、‥俺な嬉しかったんやで。‥お前からの誘いやと思て‥‥訊いてるか?それでも‥‥アカン?」
電話の向こう側で、僅かな吐息が洩れた。
‥ン?もしかして、こんなんで感じてるンやろか。
ホンマに可愛いなぁ‥全然変わってへん。
今すぐにでも、抱き締めてやりたいなぁ‥‥
「‥ンッ‥‥わかった。‥ホンマに今日は大丈夫なんやな?俺、迷惑かけてへんな?‥‥」
恐る恐る聞いてくる。
だから俺は、飛びっきり優しい声で
「あぁ、心配せんでええょ‥。クスクス、お前、また、唇噛んでるやろ?アカンょ‥‥。そんなんしたら、‥‥」
「‥ン、何でわかるン?」
‥アカン、お前の顔が目に浮かぶわ。そんな、切ない声出すなや。
好きや。‥ッてゆうてまう。
「当たり前やン‥俺、お前の事は手に取るようなわかるで。‥」
「‥ぉん、‥けど、そんなんゆうたらアカン。‥‥俺‥‥‥」
「クスッ、‥ごめんな。悪気ないねん。‥今夜は楽しみやな。」
「ぉん、仕事終わったら連絡いれるから。」
「あぁ、待ってる。じゃぁ、また、」
電話を切って小さくガッツポーズがでてしまう。視線を感じて横を見ると二人が嬉しそに立っていた。
‥こいつら居ったんや。忘れてた。
「オヤジ?今日デートなん?」
「‥ウッサイ!早ょ学校へ行けや!」
ソファのクッションに顔をうずめソッポを向く。
「クスクス、僕初めて聞いた。おじさんの甘い声。‥友達の会話とちゃうやん。」
「ウッサイ!」
「俺かて初めてや。‥電話で口説けるもんやな‥」
「じゃかわぁしぃ!アイツは特別や‥‥、今、アイツは勝手に悪い方へ考えるから、きっちりとゆうてやらなアカンねん。」
「クスクス、 すぐに拗ねるん?‥何か、徳一とおんなじやね。‥可愛い人なんや。」
楽しげに笑う。
「俺は、ちゃうから‥拗ねへん。」
「ン?徳一、何で可愛いは否定せぇへんのや。‥」
「ウッサイ!義行、学校行くで。‥」
「アハハ、行ってらっしゃい。気ィつけや。」
二人を玄関まで見送り、義行に耳打ちする。
「悪いけど、今晩も泊まってくれるか?」
「ええよ、ゆっくりしてきてや。」
「ありがと。‥」
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