季節外れの

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思い出に浸って気が付いたら、グランドでは各自、筋トレを始めている。 さてと、保健室を下見して帰ろか‥ 屋上を後にして階段を下りる。 校舎全体に想いがつまり過ぎていて、いやが上に思い出してしまう。 この階段、廊下、教室、全てに‥ 明日になれば生徒達が行き交う場所。 俺達がいた時とは全然違う事を感じるだろう。 だったらせめて今日位、思い出していてもいいだろう。 あの頃のままに、お前が後ろから走って来る気がする。 「藤原~!次サボッて屋上いくでぇ~」 眼を閉じると鮮やかに甦る声。 「ジュース買いに外、脱け出すで~」 ‥アハハ、悪い事ばっかおせられたわ‥ 保健室の鍵を開け一通りチェックを入れる。 薬品の管理に在庫、生徒達の書類、備品類、個数‥色々とする事はあるが、窓から見えるクラブハウスに釘付けになる。 ‥ここからやと、よぉ見えんなぁ~丸見え  やン。俺、冷静でおれるやろか‥ アイツとはじめて‥‥ ぼんやりしてると、先ほどの校長先生が中に入って来た。 「藤原先生、今日はこの位で上がって頂い  て結構ですよ‥」 「‥はいっ!」余りに突然で声が裏返ってしまった。「驚かせてしまいましたか?」と、 人の良い笑顔で校長は 「明日からは忙しくなりますから‥」と、告げた。 そやね‥振り返って懐かしむ暇もなくなるよ‥
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