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‥友達やもンな。電話ぐらい大丈夫なんやな。
コーヒーを飲みながら朝練を眺めていたが、今朝は義行も徳一も来そうに無いので今のうちに電話をと思いたった。
‥アイツ、忙しそうやから次の休み聞いといた方がええよな。昔からえらい誕生日とかにこだわる奴やったから祝ってあげたいし‥
クスクスと笑いが洩れる。
‥あのケーキ、誕生日のや無いって知ってメッチャ残念な顔してたし。アイツらが居ったら、からかわれンの目にみえてるし。
今がチャンスやんな。
携帯を手に取り、
「忙しそうやったら用件だけゆうてきったらええし‥‥」
一人言のように呟く。
「昨夜の電話も嬉しそに笑ってたし‥‥」
ニカッと照れくさそに笑った顔が浮かぶ。
‥俺、お前に笑ってて欲しいもんな。
今日が特別な日にしてやりたいけど、俺には無理やからせめて次の機会に祝ってやりたいから。‥
用件だけ伝えるつもりやった。‥
ホンマに、そのつもりやった。‥
俺の電話でこんなに声を弾ませるなんて思わんかったし、まさか、今夜逢えるやなんて‥‥
身体が震えてしまう。
アイツの声が甘く響く度に胸の奥が痺れたように、キュンッと疼く。
‥情けないな、ええ大人がたかが電話の声だけで切なぁなるやなんて。
そう思いながらも口からは吐息が洩れ、唇を噛み締めてしまう。
そんな些細な行為すら見透かされ、たしなわれてしまい戸惑ってしまう。
俺の行動が全て手に取るように見えているかのように‥
指が勝手に唇をなぞってしまう。
また、アイツが見ていたかのように甘く囁く。
これ以上声を訊いていると泣きそうになる。
余りにも、愛しくて‥切なくて‥‥
‥好きや、ッてゆうてしまいそうや。
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