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「何やねん?何で入って来ィひんのや‥」
「うん、保健室の匂いが苦手なんよ。」
廊下をみて笑う。
「匂い‥?もしかして、俺臭いン?」
「アハハ~、ちゃうよ。薬品の匂いやん。」
「嘘ッ!俺になってからコーヒーの匂いしかせんッて有名やで。」
そう言って廊下にこえをかけて中に入るよう促す。
「中へ入り。大丈夫や、そんな匂いせんから‥」
「はい‥‥」
女の子が二人並んで座り顔を見合わせて小声で何か喋っている。
‥お人形さんみたいやな。
「二人とも仲ええンか?」
にっこり笑って、はい、と答える。
「先生、ありがとね。今も前の先生と全然ちゃうなぁ、ッてゆうててん。なっ。」
「 うん、でも先生暗いねンなぁ~。」
花が咲いたようにキャッキャッと笑う。
「違うやん。人見知りなだけやん‥」お茶をいれて答える。
「あっ、でもこないだ来てくれた時よりも明るいよ。」
「せやろ~、俺ホンマは明るいねんで。皆にゆうといてや。」
「先生、それは誇大広告やわ。」
二人が顔を見合わせて笑う。
「でも良かったやん。そんなに笑えるんやったら‥折角の高校生活、楽しまな損やで。」
「はい、ホンマにそう思う。」
「そやよね、あんな奴のせいで今までの時間が勿体ないよなぁ。」
「なぁ~。」
表情も明るくて無理してる様子は無さそうだ。
「そんな風に思えるンやったら、大丈夫やね。後は、愚痴でも言いたなったらおいでや。セルフやけどコーヒーもあんで、たまに、お菓子なんかも‥‥アカンか、太ってまうな。」
「あはは~、先生女の子にそんなん言うたらアカンよ。」
「なぁ、甘いもんは別腹ってゆうしなぁ。」
「‥嫌やなぁ、別腹ってゆわんと女の子やったら、甘いもんに目がないんですぅ~ってゆうてや。」
プッ、と二人とも吹き出して笑う。
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