季節外れの‥‥12

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「何やねん?何で入って来ィひんのや‥」 「うん、保健室の匂いが苦手なんよ。」 廊下をみて笑う。 「匂い‥?もしかして、俺臭いン?」 「アハハ~、ちゃうよ。薬品の匂いやん。」 「嘘ッ!俺になってからコーヒーの匂いしかせんッて有名やで。」 そう言って廊下にこえをかけて中に入るよう促す。 「中へ入り。大丈夫や、そんな匂いせんから‥」 「はい‥‥」 女の子が二人並んで座り顔を見合わせて小声で何か喋っている。 ‥お人形さんみたいやな。 「二人とも仲ええンか?」 にっこり笑って、はい、と答える。 「先生、ありがとね。今も前の先生と全然ちゃうなぁ、ッてゆうててん。なっ。」 「 うん、でも先生暗いねンなぁ~。」 花が咲いたようにキャッキャッと笑う。 「違うやん。人見知りなだけやん‥」お茶をいれて答える。 「あっ、でもこないだ来てくれた時よりも明るいよ。」 「せやろ~、俺ホンマは明るいねんで。皆にゆうといてや。」 「先生、それは誇大広告やわ。」 二人が顔を見合わせて笑う。 「でも良かったやん。そんなに笑えるんやったら‥折角の高校生活、楽しまな損やで。」 「はい、ホンマにそう思う。」 「そやよね、あんな奴のせいで今までの時間が勿体ないよなぁ。」 「なぁ~。」 表情も明るくて無理してる様子は無さそうだ。 「そんな風に思えるンやったら、大丈夫やね。後は、愚痴でも言いたなったらおいでや。セルフやけどコーヒーもあんで、たまに、お菓子なんかも‥‥アカンか、太ってまうな。」 「あはは~、先生女の子にそんなん言うたらアカンよ。」 「なぁ、甘いもんは別腹ってゆうしなぁ。」 「‥嫌やなぁ、別腹ってゆわんと女の子やったら、甘いもんに目がないんですぅ~ってゆうてや。」 プッ、と二人とも吹き出して笑う。
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