季節外れの‥‥12

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まぁ、保健室ッてのはそれでええンやと思う。 色んな悩みや愚痴、そんなものを溜め込まんうちに吐き出してスッキリしていってもらえれば、それでええ。 俺も、皆が笑って帰っていったら、この仕事してて良かったッて誇りに思える。 気が付けば、お昼休み。 学校全体にええ匂いが漂ってる気がする。 「早い目に飯食べんの忘れてたな‥‥」 ポツリと呟くと、急に腹が減ってくる。 ‥単純な腹やで。と、思いお茶の用意をする。 食べ始めようとすると、バタバタと表が騒がしくなってくる。 ガラッ! 「先生!早ょ逃げた方がええで!」 「あ"ー?徳一、なんやねん。俺、今から飯やで。義行やったら今日はまだ会ってへんよ。」 不機嫌そのままの声で文句をゆう。 「ちゃうねん!先生狙われてンねん。」真面目な顔で俺に逃げるようにすすめる。 「はぁー?誰に?」 「ほっ、ほら。英語のマツコや!」 いまいち、要領が掴めん。今度は義行が慌てて入ってくる。 「徳一、アカン来たぁー!」 言うや否や、 「ちょっと、退きなさい。」と、ドカドカと義行を押し退けて中に入ってきたマツコ先生。‥ いや、ホンマは名前はちゃうんやけどDXに似てるから皆が‥‥ 「い"っ、何のご用でしょうか。」 箸を持ったまま、椅子から立ち上がってしまった。 「あ~ん‥藤原先生~。お昼一緒に食べましょうよ~。先生の分も作って来たんだからぁ~。」 「‥あっ、いえ大丈夫です。お弁当ありますから‥‥」 シドロモドロになりながら断るが、 「先生~照れてはります?」 ‥‥照れるか!と、心の中でつっこんでしまう。 ドアを見ると先生や生徒達が面白半分、興味津々で集まっている。 ‥このままやと、俺、どうなんねん。 今までこんなに ストレートで熱烈に愛情表現をしてもらった事がないので、返し方?断り方がわからない‥‥
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