季節外れの‥‥12

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マツコ先生の後ろで徳一と義行が心配そうに見ている。 助けてくれと目で訴えるが、大きく無理と口が動く。 徳一が義行の手を握っているのが見えた。 ‥うまい事いったんやな。 この状況にそぐわない事を考えてしまう。 「先生?」 「‥はい」 「一緒に食べましょうね。」 にっこりと微笑まれて、ロックオンされてしまった。 「あ‥‥はい‥じゃあ、お茶いれますね。」 立ち上がって湯呑みを取りにいくとポケットで携帯がなる。 トゥルルー、トゥルルー、‥‥ 湯呑みをマツコ先生に渡し、すいませんと頭を下げてから携帯にでる。 「はい‥」極力小さな声ででる。 「あっ‥俺。あのな、今夜の飲みやけど‥」 「もしかして、アカンのか?‥」 「ちゃうちゃう。最後まで訊きぃや。‥お前ん家でアカン?‥‥」 「ちょっ、‥何でいきなり‥」 驚いて少し大きめの声がでる。周りの奴等全員が聞き耳をたてて聞いている。 出来ればこんな状況下で電話はしたくないが、折角の電話をきる事が出来なかった。 「いやなぁ、ちょっとええもん買ってン。旨いもんやから、お前と一緒にこれで飲めたらなぁ、ッて思てン。‥」 優しい声が俺の耳元で囁き続ける。 「お前の美味しそに食べる顔好きやし、また見たいやん‥鍋やったら迷惑掛からんかなッて、‥‥なぁ、アカン?‥もう買ってあるンやけど‥ええやろ?‥」 ‥ええやろッて、‥そんな風にゆわれたら俺、うんッて、頷くしかなくなるやん‥ 優しい声が俺の頭のなかを支配するように響き、もう周りなど見えない。 皆が気づき始めている。
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