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「なぁ、もしかして先生の‥?」
「えっ、先生に恋人おったン?」
「ムッチヤ、先生可愛いやん‥照れてはるし‥」
あちこちで憶測が飛び交う。
「義行、先生の好きな人からなんかな?」
「せやね、そんな感じやな。」
先生の顔を見ると白い肌がホンノリと紅く染まっていくのがわかる。
瞳は嬉しそに揺らいでいて、自分を抱き締めるかのように腕を組む。
まるで口説かれているかのように恥ずかし気にうつ向き前髪を弄り、口からは返事か吐息かわからない言葉がでて、切な気に唇を噛む。
皆が見守る中、もじもじと色っぽい先生の会話は続いている。
「ンッ‥‥大丈夫やけど‥お前は?もしかしたら俺、‥遅なったりしたら‥‥」
「明日仕事は昼過ぎからやから遅いのは平気や。‥‥なぁ、俺、いつまでも待ってるし‥‥」
最後の、待ってるし‥が別の意味に訊こえて、吹っ切ったはずやのに期待してしまう。
「ン、じゃあ、俺は何用意してたらええ?」
「特に無いなぁ。‥お前だけ居ってくれたら‥‥他には、なんもいらん‥‥なっ。」
「ンッ‥‥」
その言葉に吐息に近い返事が洩れる。
頭では違う意味や、ッてわかってるのに心が勝手に反応してしまう。
‥口説かれてンとちゃうんやで‥‥‥
「じゃぁ、終わったら電話してや。‥悪いな、仕事中に。また。」
「‥ぉん。」
用件が済み電話をきる。携帯をポケットにいれて、はぁーッとため息がでる。
顔を上げると、その場の全員が気不味い雰囲気で俺を見ていた。
「‥な"ッ‥‥///// 」
顔が真っ赤になり言葉がでない。
けど、誰一人ゆうでもなく帰り始める。マツコ先生でさえ、
「先生?、ごめんね。ええ人居ったんやね‥‥」
と、項垂れて帰って行った。
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