季節外れの‥‥12

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後には、義行と徳一が残っていて 「先生‥‥今の電話‥」 「‥ぉん‥」 義行が嬉しそに俺の側により、 「いつの間にええ感じになったん?」 俺は答えずに椅子に座る。 「先生、デートなん?」徳一が聞いてくる。 「ちゃうから、‥俺、弁当食べるから帰れや‥‥」モソモソと食べ始める。 「デートなんやろ?相手の人いくつなん?」しつこく聞いてくる。 「ウッサィ!デートとちゃうし。」 ‥浮かれていた自分に気付いた。 「何でなん?ムッチヤ嬉しそにしてたやん。デートやろ。」 「ちゃう!友達や‥」 ‥自分の心の中を見透かされたようで声が震える。 「どこでデートすんの?」 「違うんや‥」 ‥別に徳一が悪い訳やない。 「先生、デートの相手どんな人なん?」 「‥‥」 ‥あんまり、デートッて、連呼するから‥ 「なぁって、何時からなん?」 ‥気がついたら涙が零れていた。 「アホっ!徳一止めぃ!」 義行が徳一を止め俺の傍にきてハンカチを貸してくれた。 「先生、ホンマにごめん。こいつ何も知らんねん。」 「‥俺、」 徳一も俺の涙に気付き、不安げに傍にくる。 「‥ちゃうねん、デートと‥‥友達やねん、‥ゆわんとってや‥‥俺は、ただの友達やから‥‥」 自分に言い聞かせるように呟いた。 浮かれていた自分を諫めるように何度も、友達やから‥を繰り返した。 「ちょっと徳一に話してやってもかまへんかな。」 「‥ん。」 徳一を連れて俺から離れる。 俺は顔を洗いに席をたち、義行はベッドの方に行って徳一に説明している。 そのままコーヒーを淹れ落ちるのを眺める。 ぼんやり眺めていると、段々と心が落ち着いてくる。
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