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今まで黙って聞いていた徳一が真剣な顔で問いかける。
「あのな先生。相手の人ッて、もしかして‥‥俺のオヤジやないン?」
「へェ?‥‥」
突拍子もない質問に声が裏返る。
「やって、オヤジの話とかなりダブるし、‥」
「そやね、僕もおじさんの話の時にそう思った。」
「?‥ちゃうやろう。第一名前がちゃうやんか。藤原とちゃうし‥それにな、徳一のオヤジさんやったら俺、気兼ねなく家に行くッて、‥お前に遠慮なんかせぇへんし‥」
笑いながらゆうと、二人とも凄く残念がるが、まだ腑に落ちない顔をする。
「ン?そんなに話が似てんのか?」
「ぉん‥流れ的には一緒やねん。嫌われたッて、‥土曜日は一日泣いて落ち込んでたし、昨夜は逢って仲直りしたみたいで‥‥朝からずっと機嫌がええし、電話で口説いてたし‥‥」
「こらっ、知らんでおじさんの事話して‥。」
慌てて義行が止めるが、
「大丈夫、先生誰にもゆわへんやんな。‥‥でも、まだ友達なんやて。変やと思わへん?二人とも好きなんやで。」
「せやなけど、俺はその人の気持ちがわかる。‥やっぱ結婚ッて、‥現実は重たいねん。女の人と同じ土俵にすら登ぼられへんねん。ましてや、子供なんて‥なっ。男には無理や‥‥そんな幸せを与えてあげられへんやん。‥‥折角掴んだ幸せな家庭を俺のせいで壊したないやン。‥‥」
そう言ってコーヒーを飲む。
「そうかも知れんけど、俺にはわからへん。大人は難しに考え過ぎんねん。‥最後まで話して、訊いて信じてあげたらええのに。‥‥」
口を尖らせて不満げにゆう。
「僕もそう思った。さらけ出されへんの?‥」
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