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五時間目終了のチャイムがなり、義行と徳一が教室に帰って行く。
俺は残っている仕事を片付けながら心が楽になっているのを感じた。
‥無理に割り切ろうとするからアカンのや。‥
ゆっくりでええねん‥
無理せんとこ。今は逢えるだけで充分や‥‥
放課後になりいつものように義行が顔を出す。
「仕事終わりそう?」
「ン?‥まぁ、ぼちぼちやな。」
忙しそな俺の横をすり抜けいつものように定位置で徳一を眺め始める。
「せやっ、徳一とどうなったン?認めてもろたんやろ?」
「‥///、うん。うまい事いった。‥金曜日にな、おじさんと三人で話してん‥‥」
恥ずかしそに話始める。
俺は自分の事のように嬉しくなり、側に椅子を置き義行の話を訊く。
「過保護のオヤジさんがよぉ許してくれたな。‥ 」
「うん、多分やけど‥このタイミングッて事は、僕らがすれ違わンようにやと思うねん。おじさんが今、相手の人となってるみたいな‥」
「そっかぁ、ええオヤジさんやな。‥」
「うん、僕の事も息子みたいに扱ってくれてる。‥おんなじように怒って、褒めてくれてるねん‥」
義行は嬉しそに笑う。きっと、しっかりしたええ人なんやろな。
「スッゴい男前なんよ。考え方とか、仕種とか‥やっぱり勝たれへんッて、思うねん。‥けど、僕なりのやり方で徳一と一緒にッて、ゆうてくれてン‥。」
「ええなぁ。‥一回会ってみたいな。‥俺も相談してみよかな。‥」
冗談混じりでゆうと、
「せやな、先生やったらきっと一発で口説き落とされるで‥。電話やとムッチヤ甘い声で囁くし、優しいで。」
「ん‥アカンな。俺そんなん弱いし、電話で囁かれたらきっと一発や‥。」
「そうやとおもう。クスッ、昼間もほぼ言いなりやんな。電話で口説き落とされてたしな。」
「しゃぁないやん。‥アイツ、俺の弱いとこ知ってるし、狡いねン‥」
俺も窓の外を眺め部活中の生徒とアイツをたぶらせる。
嫌われたくなくて、離れたなくてずっと背中を追い続けてた俺がそこにいる気がした。
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