季節外れの‥‥12

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「義行はずっと徳一ん家で居るんか?」 「うん。おじさん出張多いから。‥心配せんでも今日も泊まりやよ。」 クスクスと笑いを堪えている。 「‥ン‥良かった。やっぱりアイツが誰か知られた無いから‥何処で顔さすかわからんしな。‥」 「また、悪い方に考えてるやろ。相手が来たいッて、ゆうてんやから心配せんでも大丈夫やって。‥」 「ん‥せやな。大丈夫やんな‥‥」 「そやで、早ょ用事片付けてしまいや。」 義行に急かされて仕事に戻る。が、気持ちが焦って何をすればええか頭が回らない。 ‥アカン、落ち着かな。  まだ時間もたっぷりあるって、 書類を整理しているようで、単にバタバタしてるだけの俺に 「落ち着いたら、さっきから全然ジットしてへんやんか。」 「おん‥」 頭じゃ解ってるのつもりなのだが俺ん家と思うとジットしてられない。 「一回家に帰るン?それともどっかで待ち合わせて一緒に帰るン?」 「う"ーン?どないしよ‥スーツって目立つやろ?‥着替えてからにしよかなって。掃除もしたいし‥」 「アハハー、なんやかんやゆうてもデート感満載やなぁー。」 真剣に悩んでいる俺を見て、‥ どれにしよか?この服? やっぱりこっち? 一裕迷っちゃうー。と服を選んでいる振りをしながら茶化す。 「すんなや!俺、そんなんしてへんやんか」 友達同士みたいじゃれてくる義行を睨み付け、 ‥しゃぁないやン‥聞こえないようにゆうと、 「ホンマに早く帰ったら?待たす事になんで。学校終わってからやったら遅くなるやン。」 「大丈夫や!ちゃんと待っててくれるから。」 気を取り直し、机に向かいプリントの作成に取り掛かる。 「なんでそれはそんなに信用出来んの?」 「やって、昔からそうやったから‥マッ、キレられる時もあるけどさ‥」 照れ隠しでプリントに集中している振りをした。
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