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コンッコンッ。不意にドアをノックされ、
「藤原先生、今日は早く上がって頂いて大丈夫ですよ。」
校長先生が入ってくる。
「叔父さん?どうしたん、いつもなら残業させンのに。」
「義行。人聞きの悪いこと言わないように。」
義行の方を振り返ってたしなめる。
俺は不思議に思い
「まだ部活動してる生徒がいますし、今日の分の書類も残ってますし。こんな時間に‥帰れませんが‥」
ハハハー、と声をあげて笑われてしまう。
「いやね、生徒達が入れ替わり立ち替わり校長室にきて《藤原先生早く帰らしてあげて》って言いに来るんです。」
「何で叔父さんのとこに?」
「先生‥今日はデートらしいですね。」
ニッコリと微笑まれると焦りを隠せず、
「なっ///‥ちゃいます!デートやなんて。」声を荒げてしまった。
横で義行がクスクス笑っている。
それを校長先生がやさしく見つめて、
「藤原先生って、不思議ですよね。義行がこんなに笑うなんて、それに生徒達も慕っていて‥まだ一ヶ月足らずなのにね」
「いえ、そんな事ないです。皆俺の顔見たら逃げますよ。それに、よって来る奴は皆俺を揶揄うのが目的やし、‥‥」
返事に困ってしまう。
「先生の人柄でしょうか?生徒達が心配してますよ。‥少しは休みをあげてって‥‥」
「そんな俺、‥」
「ええやん。早ょ帰ったら?‥前にもゆうたけど、案外先生のファン多いんやで。」
「せやけど、デートとちゃいますし‥古い友人との約束なだけやから。‥」
フーン、古い友人ねぇ‥‥と、義行が意味ありげに笑う。
校長先生には説明してきちんと終わりまで仕事をするように言ったが、
「まぁ、金曜日の残業の代わりやと思って頂いて一段落ついたらあがってください。」
そんな風にゆわれれば断れるはずもなく、ありがとうございます‥と、返事をした。
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