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もう一度義行の笑顔を見て今度は校長先生は頭を下げる。
「本当にありがとうございます。‥義行の事もすっかりお世話になって‥個人的に、いえ、義行の叔父として感謝してます。」
「へッ?‥ 」
「話は義行から聞きました。親身になって相談にのって頂いたそうで‥‥
初めて徳一君との事を聞かされた時は驚きました。
真剣に悩んでいる義行に、私はかける言葉も見つからずに、‥抱え込み過ぎた義行は次第に笑顔も減ってしまい心配してたんですが、どうする事も出来なかった。‥
ですが、藤原先生のお陰で見違えるように笑うようになって‥」
「いえ、そんな‥‥」
頭を下げ続ける。
「両親を亡くした時も私は何も出来ず、この子の真剣な悩みにも相談にのってやれず‥
‥‥情けない限りです。
藤原先生の個人的な事に口出しするつもりも無いんです。
只、義行からの話だとそんな想いを抱いているからこそ、一人一人に真剣に向き合えるんだと思いました。
本当にありがとうございます。」
「いえ、そんな俺は何も‥‥何もしてませんし、只、好きな気持ちを否定される辛さを解ってたからやし‥‥
それに義行とは友達やし俺の相談にものってくれてますし‥」
「せやなぁ、先生友達居らへんからな。しかも暗いし‥」
「ちゃうわ!人見知りなだけや‥」
悪態をつきながら話をする俺達を見て校長先生は、優しく笑う。
「ホンマに藤原先生が、赴任してくださって良かった。‥」
返す言葉が見つからずにただただ頭を下げる。
「まぁ、そうゆう訳ですから仕事が一段落ついたらあがってください。帰り際に声だけかけて頂ければ結構ですので。」
「はい、ありがとうございます‥ 」
校長先生が、保健室から出たのを見届けてから、
「お前、俺の事ゆうたなぁ!」
「ちゃうし、先生も辛い恋してるんや‥ッて、話しただけやん。」
義行が笑いながら答えると、いきなりドアが開き、
「詳しくは聞いてませんから。‥それに、恋愛は自由ですし。」
と、にっこり笑って校長先生は帰っていった。
はぁーッとため息をつく。
「まぁ、ええけど。変に隠すつもりも恥じるつもりも無いからな。‥‥けど、アイツに迷惑かけた無いねん‥。」
段々と落ち込んでいく俺をみて、
「大丈夫やって、おじさんは誰にもゆわへん。‥」
「ん。‥それはわかってるよ、ええ先生やもんな。」
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