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「俺なんか近くても手が届かんのに、‥けど、遠くても電話の声は心に沁みてきてや‥‥
アイツの優しさだけが今の俺を支えてンかなって‥‥
アカンな‥俺、甘えてンやろか?」
ぽつりぽつり、気持ちが洩れる。
「自然の成り行きッて、俺なんかには無いねんなぁ。‥ッて、ゆうか、なったらアカンのや。‥‥」
飲み終えたコップを片付けて顔を洗う。
「先生?‥アカンッて、思い込んだらアカン。先生一人の問題や無いんやで。心配やったら相手の人に聞きィや。‥先生の事を大事に思ってる理由を‥‥」
着替え始めた俺に後ろからゆう。
「先生はゆえるんやろ?大事に思ってる理由を‥もしもおんなじやったら‥‥先生は自然の成り行きを拒まンでもええやん。」
「‥ン‥あんまりゆわんとってや。俺、緊張してきたやん。」
「はぁ?何で。」目を丸くして驚いている。
「不安になったり、緊張したり忙しな‥」
「やって、俺の部屋に来るんやで。しゃぁないやん‥友達として初めて二人きりで、恥ずかしやん‥‥」
着替える手が止まりもじもじしてしまう。
「アハハ、先生何をゆうてんねん。乙女やん‥ムッチヤ、気になるやん。僕、今日は徳一家に泊めよかな。」
笑いながら嫌な事を言い出す。
「止めてや。頼むから‥‥」
恥ずかしいのと慌ててるのとで、シャツの釦が上手く留まらない。
クスクスと笑いを堪えて、
「かけ違えてんで。しっかりしぃや。」
釦をかけ直してくれる義行に、ありがと、とゆうと
「先生いつもゆうてたやん。好きになるんは悪い事やない。なっ、その人も二人きりで飲みたいから、大丈夫やから、なッ‥‥やから、その人の話も訊いたげてや。」
「ぉん‥‥」
俺は義行に励まされてなんとか平常心を取り戻そうとしてた。
「あっそや、早ょ終わったって連絡入れへんの?」
「ン‥部屋も片付けたいし、もうちょい後でかける。」
素直に答えると、やっぱ乙女やん‥と笑われてしまう。
「でも、自信持って大丈夫やで。先生は徳一の次に可愛いから。」
「え"ー!それ、誉め言葉かぁー?」
笑うと少し緊張が解れた。
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