季節外れの‥‥13

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「電気消そか?」 「そこまでせんでもええょ。‥‥何か照れ臭いな‥」 珍しく頬を紅く染めている。 「歌った方がええか?」 「‥ン?‥このまんまでええょ。‥」 そう言って黙りこむ。 暫く眺めて、ン!フゥー‥と、蝋燭を吹き消す。 自分の胸に秘めた仄かな焔が吹き消された感じがして、鈍い痛みが走った。 やっとのことで、 「おめでとう。‥随分長い願い事やな。‥」 と、言葉にすると 「ン?‥まぁな、今日から始まるお前との事や‥‥ また、一から口説き落とさなアカンから‥」 俺をみて目を細めて微笑み酒を煽る。 消されたはずの焔が灯り始めた。‥ 「なっ、なんやねん、それ‥‥」 ケーキを切り分ける。 「‥やっぱ、俺、お前が好‥」 「はい!ケーキ。‥‥その続きはゆうなや‥」 無理矢理言葉を遮り、ケーキを差し出す。 「ハイハイ、しゃぁないなぁ‥‥ホンマに頑固や。」 そう言って白い歯を見せて笑う。 狡い、‥何で俺の一番好きな顔で笑うねん。 「‥‥///‥」 言葉を失ってしまう。‥ コトッコト‥‥コトッコト‥ 土鍋から湯気が上がり蓋を取る。 俺は気を取り直して深呼吸をしてから井本にいった。 「‥友達やから‥‥なっ。‥ 」 理由がないと傍に居られへん弱い自分の為に念を押した。 「クスッ、わかっとるょ。やから‥悲しそな顔すんなや。 さぁ、具材入れんで?」 「ン‥何を買ってきてくれたン?」 「ふッふッふッ、藤原好きか?タラの白子やで。」 「うっわぁー、高かったやろ?これ後で雑炊したらムッチヤ、旨いで。」 「ゆうと思た。絶対、〆は雑炊やんな。」 井本が順番に入れている。 俺はぽん酢、アサツキ、紅葉おろしを用意しておしぼりを手渡す。 少し煮上がるまでの間、焼酎を飲みながら酒の話になる。 「どん位飲むン?」 「俺、イエノミばっかりやからな‥記憶が無くなるまでかな‥」 「あ、アカンやろ。身体壊すで‥‥」 心配そに身をのり出す。 「しゃぁないやん‥俺、一人やもん。」 頬杖をつきながら答える。 「う~ん、友達居てへんのかい。」 「酒を一緒ッてゆう友達は居てへんな。‥ それに、酔うたら寝むたぁなるし‥ 一人の方が楽やし‥‥」 完全に微酔い加減で気持ちがいい。 フワフワした気分で話が弾む。
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