季節外れの‥‥13

14/26

44人が本棚に入れています
本棚に追加
/343ページ
「せやから、今幸せやねん。‥笑てる一裕が傍に居るから。‥ こうしてても、好きやょッて、ゆいたなる。 一裕が祝ってくれるって、ゆうてくれて俺‥‥ 幸せやねん。‥ありがと。」 「‥名前を呼ばんとってや‥」 俺を見つめる瞳から逃れられない。 「いやや、二人きりの時は‥一裕ッて、ゆわしてや。 好きやッて、何度でもゆわしてや‥」 手を伸ばして俺の首のチェーンを手繰る。 「つけてくれたんや。‥ありがと。 俺の事、嫌いになったら棄ててくれてええから‥」 「ゆうてる事、無茶苦茶や‥‥ 好きやゆうたり、嫌いになったらッて、ゆうたり‥」 段々と感情のコントロールが効かなくなってくる。 かろうじて、 「俺は、友達やッて、ゆうてるやん。‥」 涙が溢れた。‥ それを指で拭いとって、 「何で泣くん?‥名前呼ばれんの嫌か? 好きやッて、ゆわれんの嫌か?」 「‥ンッ、ちゃうし‥そんなんやない。」 言葉と一緒にポロポロ零れ落ちる。 「じゃ、笑ててや、一裕‥俺の前では笑てて‥‥」 切な気に乞うてくる。 「‥そんな目で見んとってや、友達なんやで‥‥ せやから‥止めてや‥」 「なんでなん。俺、今度は絶対に一裕を諦めへん。」 酔いが回っている分感情が暴走するのを止めれない。 「まだ‥上手い事気持ちの切り替えが出来ひんねん。‥あんまりゆわんとって、 俺自身な‥‥わからんようになんねん。」 「何が、わからんねん。」 優しい瞳が訊いてくる。 ‥ゆうてもええんやろか? 情けない瞳で見てしまう。 「ゆうてや‥ 一裕」
/343ページ

最初のコメントを投稿しよう!

44人が本棚に入れています
本棚に追加