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煙草を吸い終えてベッドに戻ると、気配を感じるのかこっちに寝返りをうつ。
隣に潜り込み、抱き締める。‥
「‥ンッ‥‥」
浅い眠りなのかボンヤリと目を開ける。
「一裕‥」名前を呼ぶと、ふにゃっとまた笑う。
「貴史‥‥ええな‥目が覚めても、夢でも‥‥お前が居るって‥‥」
そう言って、また目を閉じる。
幸せそな寝顔は、かえって俺を責め立てる。
抱き抱えるように俺も眠りにつく。
───夢の中で学生の自分と話をした。
変な話や‥所詮、夢は夢‥‥
けど、学生の自分に聞きたかった。
何で大学へ行け、なんてゆえたんや?
何で俺は、一裕を手離したんや?
アホな事してしもて‥‥
今じゃ忘れてしまった記憶‥‥
‥アイツは、俺と違って頭がええ。真面目にやれば真っ当な幸せがあるはずや‥ッて、お前が思たんとちゃうんかい。
「そやけど、そのせいでアイツは今、一人きりで泣いてんねん。」
‥そんなん知ったこっちゃないわ。俺はお前でも、今のお前は俺やない。
結局、自分が悪いんやろ。アイツの性格を知っててやってる事やんか。
「‥ちゃう。俺は‥」
‥最初の告白も思わせ振りに好きやろッて、聞いたり、初めての時もアイツから抱いてやッて、ゆわしたり、デートもそうや‥何もかもが自分からゆわんと、全部アイツからゆうよぉに仕向けて‥‥
狡いンとちゃうんか?
言い返せない自分が歯がゆかった。
‥アイツの優しさに、とっぷり浸ってただけの高校生活やったンやろが。
今がどうなってようと全部お前が悪いんやないか。
いつの間にか学生の俺は先輩に変わっていた。
‥もう一度、一緒に居りたいんやろ?素直にゆわなアカンねん。拒まれるのを怖がってどうすんねん。
相手からゆうてくれるン待っててどうすんねん。
自分からゆわな‥‥
「でも、訊いてくれへんやん‥‥」
‥じゃ、何もかも棄てて一緒に居りたいッて、ゆわれた時、何で二人でッて、ゆわんのや?
「やって、アイツの人生壊してしまう気がしてん‥」
‥重荷なんか?
「ちゃう!」
‥いつもゆうてたやろ?人の人生は背負うもんとちゃう。一緒に抱えていかな。
プライド棄ててみ。
いつまで格好つけるつもりや?‥‥
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