季節外れの‥‥13

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起きた時、井本は俺を壊れ物のように優しく抱き抱えて眠っていた。 真横にある顔を不思議な気持ちと嬉しさと、罪悪感を感じながら見つめる。 ‥ホンマに泊まってくれたんや。 一晩、過ごしたんや‥‥ 俺が独り占めした‥‥ いつまでも見ていたかったが、起こさないようにベッドから抜け出してシャワーを浴びる。 ‥目が覚めて好きなやつの顔が隣にあるなんて、こんなに幸せな事なんや‥‥ 熱めのシャワーを頭からかぶる。 「ンッ‥‥」 目を閉じると、寝顔と顔にかかる息遣いを思いだし身体が熱くなる。 それと、一晩中抱き締められていた事実‥‥ 目が覚める度に感じた鼓動‥‥ 俺を見つめる優しい瞳‥‥ 「ぁッ、‥ア、カン‥‥ッ、」 身体の中のマグマのような塊が放出を我慢出来ずに溢れ出そうとしている。 「‥ンッ‥ハァ、‥ハァん‥ッ、ンッ、‥やッ、やぁァンッ‥‥たかふ、みィ‥‥」 うわ言のように何度も名前を呼んでしまう。 今、俺のベッドで眠っている事が余計に俺を昂らせた。 ‥したらアカン ‥‥起きてきたら、 そう思えば思う程、手は勝手に、着実に俺を攻め立てる。 「ィ‥いや、‥ンッ‥ハァ、   ‥たァかァンッ‥ふみィ‥‥好きンッ、‥ ‥‥‥‥‥‥たかふみ‥‥」 シャァァァーーー、‥‥‥‥ 跡は全て流れて消えていく。 その場にへたりこんで、息が整い始めると、罪悪感が俺を支配した。‥‥ 嗚咽が洩れて唇を噛み締めて、声を殺して泣いた。 何度も謝りながら、‥ アイツの優しさを汚した気がして‥‥ 友達やッて、言い続けてる自分が汚なく思えて‥‥ 蔑んだアイツが俺を見下げているようで‥‥ 「違うんや‥‥」 綺麗事ばっかりゆうてた自分が凄く穢れているようで‥‥ 「ごめん‥‥貴史‥」
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