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頭を拭きながら、アイツの寝顔を見る。
眉間に皺がよって、俺を責めているように感じる。
震える人指し指で髪をソッとかき分けると、フッと微笑む。
‥良かった、俺を拒んでない。
何故か先程の行為が許された気がした。
そう思えた。
部屋着に着替えて朝飯の支度をする。
〆の雑炊をしていない事を思いだし土鍋を火にかける。
コトコトと鍋が煮立って湯気をあげ始めた頃、後ろから視線を感じた。
振り返ると、いつの間にかテーブルで煙草くわえた貴史が俺を見つめていた。
「‥おはよう。」と、声をかけると傍にきて、
「一裕、おはよう」と、唇に音をたててキスをする。
「///‥なっ、何すんねん。」
「朝の挨拶やン。‥」
悪ぶれもせずにゆう。
「俺、一晩中考えてン。‥一裕の寝顔見てて思た。
好きやねん。‥‥もう、ゆっくりとか、訊いてくれるのを待つとか、無理やわ。」
「朝から、寝言か?‥」
動揺を隠してわざと素っ気なく言い放つ。
「ン。ちゃう。告白や。‥‥
いつも俺一裕に甘えてたから、なぁ‥‥
俺と付き合ってくれ。‥
好きやねん。一裕、もう絶対に手離さへんから、‥‥」
真顔で真っ直ぐにゆわれて茶化す事も、聞かなかった事にする事も出来ずに、‥‥
「な‥何‥‥ゆうてンねん。まだ寝惚けてるやろ。シャワー浴びて目ぇ醒ましてこい。 」
真っ赤になりながら辛うじて井本を風呂に連れていく。
服をこれ見よがしに脱ぎながら、
「着替えあらへんけど?」
「あぁ、新しいの持ってくるから。」
「うん、洗濯物は?」
「洗濯機にほりこんどいてや。後で、一緒に洗っとくさかいに‥」
「ン。‥」
‥呑気なもんや。
新しい下着とTシャツを用意して脱衣場に置き声をかける。
「置いとくで‥」
「ありがと。」
台所に戻り、朝飯の支度の続きに取りかかる。
‥一体なんやねん。朝の挨拶にチューッて、‥
新婚さんやあるまいし‥‥///‥‥
自分で思って照れてしまう。
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