季節外れの‥‥13

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暫くするとパンツにTシャツ一枚で頭を拭きながら出てくる。 「朝飯何?」 「ン?昨夜の残りで雑炊や‥ッて、寒ないんかい。風邪引くやん。」 ドライヤーを持って無理矢理髪を乾かす。 立ったまんまでワシャワシャすると嬉しそに目を細める。 粗方乾かして、 「ちゃんと服着ぃや。」 「はいはい。」 二人でテーブルにつき、 「うわぁ、旨そやな。玉子もふわふわで‥‥」 「せやろ。‥はい、ほな、いただきます。 」 「いただきます。」 先程の台詞を忘れてしまったのか呑気に、旨っ!と笑っている。 朝から二人で穏やかに朝飯‥‥ 目が合うと、フワッと笑って 「俺、最高の誕生日やった。‥ありがと。」 「良かった、喜んでもらえて‥」 心底思う。‥ 食べ終えて片付けをし、弁当を作っていると傍にきて煙草を吹かしながらおかずを摘まむ。 「お弁当男子かい。」と、笑う。 「しゃぁないやん。時間通りに食べられへんし、外に買いにもいかれへんから。」 その言葉に目を丸くして驚いた振りをしてから、目頭を押さえて、 「立派になったなぁ。昔はサボって学校抜け出したのに‥‥」 「ちゃうやんか。お前が連れ出したンやろう?俺は真面目です。」 クスクスと笑い合いながら詰めていく。 「あっ、そや。俺の分も詰めてや。帰って昼飯作るん面倒くさいし。」 「ええょ。特になんもないけどな。」 「お握りにしてな。」 「はいはい。残さんと食べんやで。」 「オカンか‥」 俺より一回り小さい弁当を作って渡す。 「朝からアレやけど。俺、今度の出張終わったら一裕に話がある。」 真面目に切り出されて戸惑う。 「‥ン?」 「一裕の不安や心配事全部なくしてやる。 ええな、朝も晩も電話入れる。‥ 俺には一裕しか居らんから‥‥」 何も言い返せない俺の頬に手を置き、 「好きやねんで‥‥一裕が手に入るンやったら、何もかも棄ててやる。‥‥」 そう言って、唇を重ねられた。‥‥ 何度も‥‥何度も‥‥ 何もかも忘れてしまう、 不安なんかも一切なく、‥‥‥ ただ‥‥‥ 俺は貴史のもんやッて、心に刻まれた。‥‥‥ それを‥‥幸せに感じた‥
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