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何人かの生徒といつもの義行と徳一が保健室で雑談をしていた。
各自でオヤツを持ち寄っての他愛ない噂話。
そんな中での電話‥
義行がソッと側にきて耳打ちする。
「喫煙所に行きィや‥‥」
また、俺は紅い顔をしてモジモジしていたらしく皆に気づかれる前に教えてくれた。
「ごめんな、こんな時間に。電話、大丈夫か?」
遠慮がちだが声が弾んでいる。
「ぅん、‥」
「今夜、時間がちょこっと空いたから逢いたいンやけど、ええ?」
「今夜‥?」
話に頭がついていかない。
「あぁ、急やし、遅くなりそやけど‥」
「ン‥だいたい何時くらいになんねん。」
「11時位までには大丈夫やと思うねん。社に一回寄って直接一裕ん家に‥ッて、遅なったら寝ててもかまへんから。‥
顔みたいだけやし‥‥」
少し照れたような声になっている。
だから素直に俺も逢いたいッて、ゆえた。
「クスッ、エライ素直やな‥‥
期待してええん?」
「さぁ、どうやろ?‥でも、起きて待ってたい‥‥」
余りにも優しい声に気持ちが溢れる。
つい‥‥
「飯はどうすんねん。‥用意しとこか?」
「ホンマに?‥あっ、でもな‥どやろ‥‥」
と、考え込んだのを聞いて、しまった、と思った。
‥ソコまでしたら重荷になってしまう‥‥顔見に来るだけやのに‥‥
帰るべき家があんのに、そんな出過ぎた真似したらアカンかったんや‥
「‥‥ッて、なぁ、聞いてんのか?」
「エッ‥‥ごめん何?」
「クスッ、俺はさみ揚げ食べたいなッて、蓮根の‥‥作れるか?」
「ぅん。‥」
「じゃぁ、お願いするで。‥
イヤな、遅なんのに悪いかなって考えててン‥。
一裕からゆうてくれて助かった。‥‥」
‥迷惑や無かった。良かった‥‥
「置いといて先に寝てくれたらええょ。
‥‥合鍵使って勝手に食って寝さしてもらうし。」
聞き間違えたのか不安になりながらも、意外な言葉に声が大きくなる。
「と、‥まってくれるん?」
「エッ‥まぁ、その‥‥遅くに行ってもええッて事は、そうゆう事やろ?‥
アカンかった?」
「ぅ‥ぅん、‥アカンくない。‥」
「明日も仕事やろから無理して起きてんと寝ィや‥必ず行くから‥‥」
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