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あかんたれやな、と笑う義行に、
「徳一とはどうなん?‥」
「ぅん、まぁ‥」
酷く歯切れの悪い言い方をする。
「なんや?喧嘩でもしたんか?」
「ちゃうちゃう、ただな最近徳一が口ごもる事が増えてん‥‥」
グランドに目をやり、徳一の姿を探している。
「オヤジさんとは上手い事いってんか?」
「相変わらず冷やかされてばっかりや。‥
でも、仲がええのが一番やッて、いっつもゆうわれてる。
言葉にせなアカン時は、言葉で‥
態度で示さなアカン時は、態度で‥ッて、」
「フーン。‥」
貴史と同じ立場の徳一のオヤジさんがどんな考えをしているのか気なる。
それがわかったら‥‥
「おじさん自身伝えきれてないんやろな。だから僕に置き換えてんかも知れん。
伝えたくても伝えられへん様な事にならんよう‥
徳一の事が大事なんやろな。だから余計に僕がしっかりせなアカンなぁッて、‥‥」
「偉いな、‥俺はウジウジしてまうだけやし‥」
二人でグラウンド を眺める。
丁度、部室から徳一が出てくるところだ。
「ええンとちゃう。そんな先生の事をその人は大事にしてんやから。」
「ン?‥そうかな‥」
自分に自信が無い分素直に喜べない。
「電話、朝晩あるんやろ?毎日なんて無理やで。仕事してんのにその時間を割いてまでッて、‥僕には無理や‥」
「それは、毎日一緒に居るからやん。‥一緒に暮らしてンと一緒やんか。」
少し妬みが入る。
「ン、せやけど、‥そんな照れ臭い事は徳一に悪いけど‥‥」
「そんなんゆうてるけど、十分徳一に甘い気がするけどな。徳一が電話欲しいッて、ゆうたら必ずするやろ?」
「ン、まぁそれは‥するな。けど先生はしてッて、ゆうてないやろ。」
と、笑う。
「まぁ、ゆうてへん‥‥」
「なっ、大事にされてるやんか。」
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