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徳一はグランドで柔軟を始めている。
「あんな、おじさんがな春休みの間に引っ越して一緒に住まへんかッて、ゆうてんねんな‥‥まだ徳一に内緒なんやけど。」
「そこまで話進んでんや。お前なんて返事したん?」
「まだなんやけど‥受験とか色々先の事やお金の事考えたら、一緒に暮らす方がええンとちゃうかッて、‥」
「せやな、3年になってからやと忙しなるし不安も大きなるし‥
引っ越しすんやったら今やな‥‥
ええ選択肢だしてくんな。」
肝心してると、
「‥まぁ、流石やと思う。やから、悔しくて僕、‥ホンマはちゃうんやろッて、ゆうてんな。」
「ちゃうッて、何が?」
「今、おじさん正念場やン。待ってた人に逢えて誤解を解いてる最中なんよ‥」
「あぁ、ゆうとったな。」
「徳一も自分のせいでおじさんの仲が元に戻り難いと思てンねん。‥
おじさんにとって徳一は護るべき存在やから先に僕に任したいみたいやねん。‥
徳一が淋しい想いせんようにッて、わかってンやけど‥‥
つい、いつでもその人と逢える様にやろ?ッて、ゆうてしもたンよ。」
「あらまっ、えらい挑戦的やんか。」
「それやのに、全然動揺せんと‥当たり前やんッて、ゆうねん。
好きなやつに逢いたいと思う時は逢いに行きたいやろが。ッて、ゆわれて‥‥」
「ハハハ、おやじさんの方が一枚上手やな。それって、お前の事でも自分の事でもあるやんか。」
笑いながらもおやじさんの相手が羨ましかった。そんなに想いやって誤解を解こうとしている。
‥相手の人もアホやな。ええ人やのに。
貴史も、そうなんかなぁ‥
俺に逢いにくんのは、ホンマに逢いたいからなんやろか‥‥
「けど、徳一をお前に任したいッて、のは本心やろな。アイツ妬きもちやきやし、‥」
「何でわかるン?」
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