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顔面蒼白になった義行がグランドに駆け出して行く。
窓からグランドを見ると徳一が倒れている。
慌てて後を追いかける。
騒がしくなり始めたグランドに他のサッカー部員達も集まってきた。
「徳一!!大丈夫か!」
義行が徳一の上体を起こそうとするのを止めて、先ずは様子を窺う。
「何があったんや?」
義行が部員達に聞いている。
「わからへんねん。ランニングしてたら急に‥フラついて、あっ、て思ったら‥‥」
声をかけていると、意識が戻りぼんやりとした顔で俺を見る。
ホッとして、優しく訊ねる。
「痛いとこはどこや?」
「エッ‥ない‥‥」
何が起こったかわからない顔で応える。
「そっか、徳一。お前倒れたンやで‥気持ち悪ないか?吐きそうとか目眩とか‥‥」
「‥あ、ちょっと頭がボォーっとしてる‥‥」
ゆっくりだがしっかりと応える。
顔色は少し悪いが特に異常は見当たらない。
‥ン、特に心配する必要もなさそやな。
頭も打ってないようやし、保健室に寝さして様子みよか‥‥
「義行。先に徳一をベッドまで連れて行ってくれるか?俺、顧問の先生に話して来るから。」
「うん、‥徳一、立てるか?」
「大丈夫‥」立ち上がろうとして足元がフラつく。
義行が抱き抱え支える。徳一の耳元で、
「徳一、僕に寄りかかってや‥」
「‥///‥ややぁ。」
義行の手を払いのけ歩き出すが、足元が覚束ない。
「肩貸すから‥」
徳一の腕を肩に回す。
「ン、ごめん‥‥」
不意をついてそのまま抱き抱える。‥俗にゆうお姫様抱っこで連れていかれる。
「や‥止めろや、下ろせや。」
「アカン。‥じっとしててや、落ちるで。」
顔を覗き込んで微笑むと、
「けど、‥みんな‥見てるし///」
恥ずかしそに僕を見る。
「ええねん。徳一に誰も手を出さん様に見せつけてンねん。」
そう言って、抱き直す振りをして頬にキスをする。
「あっ、///‥‥アホか。」
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