季節外れの‥‥14

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「何が見える?」 「グランド‥‥」 「ン、そやな。‥部活してんのよぉ見えるやろ。部室まで見えてるか?」 ソッと横顔を窺う。 「ぉん。‥」 「ここにいつも座ってンねん‥多分、グランドからでも見えてるよな。」 「‥見えてる。」 「まっ、そうゆう事やねん。‥義行はいつもお前を見てるし、ここでお前話しかせぇへん。 今回の事も、一番先に気ィついたンは義行や‥‥」 黙って頷く。 頭をクシャッと撫でベッドまで戻ると、 「不安になんのはわかるねん。‥気持ちは目に見えへンから。 でもな、もうちょっと自分に自信持ってもええンとちゃうか?」 「けど‥なんか嫌やってン‥‥ 先生と一緒に居ンのが、二人だけの秘密を持ってるみたいで‥‥」 「そっか、俺も軽率やったな‥相談出来るンが義行しか居らへんから、つい‥‥ 悪かったな。 けど‥秘密なんか無いで。俺は、‥‥俺の心の中には大事な人が居るから‥」 寂しく笑ってゆうと 「ぉん、知ってるけど‥俺な‥‥」 口ごもってしまう。 「ン、ゆっくりと二人で話しィや‥ 色んな感情を感じてるだけやったら‥ 言葉にせぇへんかったら、なんも伝わらへんで。」 今まで徳一の様子を見ていた義行が、徳一を抱き締める。 「僕、上手い事よぅゆわんけど徳一が不安なんやったら、ずっと抱き締めててあげたい。‥ それで、徳一の話を聞きたい。」 「俺、‥義行が、‥変わってしもた気がしてン‥ 俺より、先にどっかへ行ってしまうような‥‥」 涙目でゆっくりと顔をあげ、義行を見つめる。 話始める気になったようなので、二人に 「徳一‥義行もお前とおんなじ不安を抱えてンで。 俺が居ったら言いづらいやろうから‥‥」 そうゆうてカーテンを閉めた。
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