季節外れの‥‥14

10/26

44人が本棚に入れています
本棚に追加
/343ページ
俺は暫くの間、義行に抱き締められて前髪を優しく梳いてもらっていた。 ‥気持ちが温かくなって‥。 なんか段々と不安や焦りが消えてって、 素直にゆえそな気がする。 「俺な‥頭じゃわかってるねん。いつも見ててくれてるって‥ けど‥目の前で他の奴らや先生と仲良くしてんの見ると‥‥」 ボソボソと話始める。 「嫌やったんやな。‥ごめん、僕きっと安心してたんかも‥僕が徳一のもんになったって‥‥。 やから、なんかあったら話してくれるって‥」 ジッと俺を見て情けなさそに笑う。 「あのな、初めての時にもっと好きになってな‥ッて、ゆうたやんか。 けど‥好きになってくのは俺ばっかりで、義行は段々クールになって‥ 俺だけが、好きな気持ちで溺れそうで‥‥」 目を反らせずに見つめかえす。 「ちゃうよ、僕もおんなじや‥‥ 誰かに徳一を盗られんように周りばっか見てて‥ それに、早くしっかりして、‥‥ おじさんに負けたくなかった。」 「おやじに?‥」 「うん、おじさんがいつも徳一の幸せな笑顔を引き出すから‥‥徳一も、いつもおじさんの話するから‥‥」 「‥ごめん、俺そんなんやないのに。 感謝してても‥おやじはちゃうねん。‥」 俺は、義行の背中に腕を周す。 「うん、僕も頭じゃわかってるねん‥‥ けどな、初恋の相手‥おじさんやろ?だから、ごめん‥‥ ハハハ、おんなじやな‥‥ でも、何で寝られへんかったんや?」 俺の頬に手を置く。 「 ‥夜になったらな、嫌な事がいっぱい思い出すねん。 そしたら、やっぱりお前は同情されてただけや‥ッて、声が聞こえてくるねん。‥ けどな‥‥‥ それでも、かまへん。義行が傍に居っててくれんやったら‥‥理由は何でもええ‥‥ ッて、顔見てたら泣けてきて‥‥ 朝になってンねん‥‥」 思い出しながら涙が滲む。
/343ページ

最初のコメントを投稿しよう!

44人が本棚に入れています
本棚に追加