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俺は暫くの間、義行に抱き締められて前髪を優しく梳いてもらっていた。
‥気持ちが温かくなって‥。
なんか段々と不安や焦りが消えてって、
素直にゆえそな気がする。
「俺な‥頭じゃわかってるねん。いつも見ててくれてるって‥
けど‥目の前で他の奴らや先生と仲良くしてんの見ると‥‥」
ボソボソと話始める。
「嫌やったんやな。‥ごめん、僕きっと安心してたんかも‥僕が徳一のもんになったって‥‥。
やから、なんかあったら話してくれるって‥」
ジッと俺を見て情けなさそに笑う。
「あのな、初めての時にもっと好きになってな‥ッて、ゆうたやんか。
けど‥好きになってくのは俺ばっかりで、義行は段々クールになって‥
俺だけが、好きな気持ちで溺れそうで‥‥」
目を反らせずに見つめかえす。
「ちゃうよ、僕もおんなじや‥‥
誰かに徳一を盗られんように周りばっか見てて‥
それに、早くしっかりして、‥‥
おじさんに負けたくなかった。」
「おやじに?‥」
「うん、おじさんがいつも徳一の幸せな笑顔を引き出すから‥‥徳一も、いつもおじさんの話するから‥‥」
「‥ごめん、俺そんなんやないのに。
感謝してても‥おやじはちゃうねん。‥」
俺は、義行の背中に腕を周す。
「うん、僕も頭じゃわかってるねん‥‥
けどな、初恋の相手‥おじさんやろ?だから、ごめん‥‥
ハハハ、おんなじやな‥‥
でも、何で寝られへんかったんや?」
俺の頬に手を置く。
「 ‥夜になったらな、嫌な事がいっぱい思い出すねん。
そしたら、やっぱりお前は同情されてただけや‥ッて、声が聞こえてくるねん。‥
けどな‥‥‥
それでも、かまへん。義行が傍に居っててくれんやったら‥‥理由は何でもええ‥‥
ッて、顔見てたら泣けてきて‥‥
朝になってンねん‥‥」
思い出しながら涙が滲む。
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