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外を眺める必要の無くなった義行は、少しカーテンを開けて徳一の顔が見える位置に座り直して本を読みはじめている。
「あっ、そや。この辺で旨いプリン置いてる店知らんか?」
「プリン?‥先生好きなん?」
心なしか少し笑っている。
「ン、ちゃう。アイツが好きやから。」
更に顔に笑いが浮かぶ。
「ヘェー、‥今日はデートなんや。 お昼の電話はそれやったんや。」
「ちゃッ‥ちゃうから、仕事で時間が偶々空いたからッて、‥‥顔見に来るだけやし‥‥」
「ヘェー、顔見に来るだけしか時間無いのに逢いに来るんや‥‥すごい人やな。」
意味ありげに笑われると、つい、言い訳してしまう。
「偶々なんやって‥‥晩飯用意しといたら寝てたらええッて、ゆうてたし‥」
「ン?‥寝ててええッて、‥お泊まりなんや。」
しまった、 ‥喋れば喋る程、墓穴を掘ってしまう。
「あ"ーもうええやろ。教えてや、店!
約束したんやから。」
「えっ?何その人、プリン好きなん?
うっわぁー、ムッチャ可愛いなぁ。」
笑いを堪えながら、目を丸くする。
「‥///‥ええやろ、別に‥プリンが好きでも‥」
「まぁ、おじさんもかなりの甘党やけど、プリン食べてるとこ見たこと無いで。」
「おやじさんは関係ないやろ‥お前よっぽど、ライバル視してんな。」
図星の様で苦笑いをする。
「教えんとこか~?」
「ごめん。教えてや、今度逢うときは用意しとくって約束したねん。やから‥‥」
手を合わせて頼みこむ。
「‥約束か、‥先生いっつもそんな約束してんの?」
「えっ‥いや、別に‥。
ただ、今度は何がええとかゆう感じで約束ッて程やないけど。」
俺を見ながら何か考え出している。
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