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声が聞こえなくなり、くぐもった息遣いが微かに聞こえてくる。
‥ここ、保健室やで‥‥勘弁してや‥
暫くして義行が出てくる。ベッドでは、徳一が頭まで隠して丸くなっている。
照れくさそに、
「先生のせいでケーキ奢る羽目になったやんか。」と、笑う。
「悪かった。‥徳一もごめんな。‥」
「///‥ええから、こっち見らんとって‥」
小さい声で返事をする。
「徳一、恥ずかしがってるやン‥お前無茶苦茶やで。」
「ハハハ、しゃぁないやん。涙目で上目遣いで見つめられたら、僕かって暴走するって。
まだ、我慢してる方やン‥」
「///‥‥黙ってぃー!」
「はぁ、苦労すんなぁ。俺いつでも相談にのんで?」と、本心から思った。
‥でも幸せなんやろな。
徳一の姿を見てそう思った。
急に真剣な表情の義行が
「先生ありがと。先生が居って良かった‥
僕らの関係を当たり前の様に受け入れてくれるやンか。だから、素直に徳一に好きッて、ゆえるねん。
やから、先生も、話してや‥頑張ってや。」
「ぅん‥ありがと。でもホンマに今日は顔見に来るだけなんや‥‥」
自分自身が期待せんように念をおしてしまう。
部活終了のチャイムが鳴り、のそのそとベッドから徳一が出てくる。
「徳一、まだ寝てたらええッて、‥僕が鞄取ってくるから。」
「ええッて、自分でするから校門で待っててや。」
と、キツく断られた。
勢いよく駆け出す後ろ姿を見て俺は笑いが込み上げてきた。
「クスクス、お前が悪いわな。‥お姫様抱っこなんかするから。」
「そうなん?でもそのお陰でこれからは、誰も徳一に手出さんやろうし‥」
まるで計算ずくの様に笑う。
俺も片付けを済まして着替えながら、
「ホンマに徳一可哀想やな。‥次になんかあったら、皆の前でキスでもしそうやな。‥」
その言葉に、それええなぁ‥と返事をする。
もう何もゆえずに苦笑するしかない。
‥まぁ、妬きもち妬きの徳一の不安を拭い去るには丁度ええンやろうけど‥‥
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